朝、よしくんが学校へ行って、代々夕方、夕飯時前くらいに帰ってくる
それを、ただ、家で一人待つ
それが僕の日常の大半をしめるんです
やはり狭いこの家、一人でやることなんて、それこそ、寝る、だらける、家事(これはよしくんのお仕事でございます)くらいしか本当に無くて、よしくんが帰ってくるまで僕は本当、暇で、暇で、仕方無いのです
「暇でございます…」
はあ…と呟いてみても返事など返ってくるわけもなく只、虚無
ならば外、と思っても今日は既に時間もあまり優れないし、何より暑くて、おちおち外も出れません
それに他の人と一緒に居ても、やはり彼の事を考えてしまって、これでは逆に失礼だな、と思ってしまうのです
家の中でひとりからからと扇風機を回す
それにあわせて、小さな窓にまたこじんまりとぶらさがっている風鈴がなる
「暑いです…」
言っても、温度は変わらないし、涼しくなるわけではないとわかっていても、つい口に出してしまう
けれどもこんな暑くても、人肌恋しく思うのは、よしくんの事ばかり考えるのは、いや、むしろ、暑さのせいなのでしょうか
何故だか、今日はいつもよりよしくんのお帰りが遅くて心配でございますそれにいつもなら遅くなるときは、ちゃんと事前に話してくれるか、連絡をいれてくれるのです
なのに今日はそれがなくて、また暑さで悶々として、さらに不安をよぎらせる。
彼は一体いつ帰ってくるのでしょうか
とにもかくにも、はやく会いたいのです
「誰に?」
「えっ」
ふと顔をあげるとそこには、彼、よしくんがいました
「よ、よしくん」
「ん?どうした?王子」
よしくんは僕のまえにちょこんと座り、だいすきな優しい笑顔でこちらをみてきます
かわいい、かわいいでございます
「お帰りが、お、遅いでございます!」
「えっ、あ、ごめんな、ちょっと学校残ってたんだ、だからほら、今日はちゃんとプリン買ってきたぞ」
後で冷やして食べような、と少し困ったようにして笑うよしくんはまたかわいらしくて、思わずぎゅっと抱き締める
びくりと震えたよしくんのからだは少し汗ばんでいて、外は更に暑かったんだろうなあ、と実感する
「王子、おれ汗かいてるから、やめたほうがいいいって!」
「心配したでございます…」
「ばかだなあ、王子は」
「よしくんはかわいいんですから!心配します!」いや意味わかんないし、と笑った後よしくんが少し恥ずかしそうに顔を近付けてきたので、嬉しくって目を瞑ると
「ばあか、何期待してんだよ、ほら飯食うぞ、めし!」
と でこぴんしてきました
ひりひりと感じる額の痛みをおさえて、ふとよしくんの顔をみる
してやったり、と
不敵に笑うよしくんも、かわいい、なんていとおしい
ああなんでよしくんがいるだけで、こんなにも温かいのでしょうか
それがなんとも心地よい
「(さっきまで、あんなにも暑さを煙たがっていたのに、我ながら僕は単純でございますね)」
「結局は僕はよしくんが居ればなんでもいいのです」
「は?」
やっぱりちゅーさせらんなかった…*0811