※影のない恋人たちの続き
※卑猥なお話
恋をした数だけ、人は臆病になっていくと思う。
失うたびに反省して、新しく得るたび、同じ過ちを繰り返さないようにしようと心に決めて。そうしてどんどんと自分のなかに『してはいけないこと』ばかりが増えていく。
今度こそ、失いたくないと思っていた。どうすればかなえが俺のもとにいてくれるのか、それだけを考えてた。自分の醜い欲を隠して、かなえに嫌われないように必死で取り繕っていた。でもそれも今日までにしよう。
「っ……ふ、」
「かなえ……かわいい……」
「かい、さん……」
「かなえ、っはぁ、かなえ……」
ずっとこうしたかった。かなえの、普段は服に隠れている隅々まで暴いて、触れて、口づけて、吸い上げて、そうしてかなえが俺の下であられもない姿でよがるところを見たかった。今ようやく、その願いが叶った。
「かなえ、ほんと、かわいい……」
「やだ、いわないで」
「どうして?」
「はずか、し……」
「はずかしがってるところもかわいいな……」
かなえの中に指を突っ込んで、ざらついたところを執拗に責める。いやいやと身をよじらせながらも、快楽を求めるように腰を突き出す素直なところが尚更可愛い。一体どこからこんなにと思うほど溢れた蜜は既に布団を濡らしていた。
「かなえ……挿れても、いいか……」
わざと音を立てて耳にキスをする。固く閉ざされていた瞳がようやく俺を見た。
「は……い……」
ひたりとかなえの入り口に自分のモノを押し当てれば、ゴムの膜越しだというのにその熱さに驚く。中に入ってしまえばどうなるのだろう。
「あっ……ふ、」
「っ……痛かったら言えよ……」
「あっ、あっ……ぅ……っ」
ぐっと押し進めれば、かなえのそこは待ち構えていたと言わんばかりになんのためらいもなく俺を受け入れた。
「っはぁ……かなえの中すごい熱くて、気持ちいい……」
「かいさん、」
「かなえ、かなえ、好きだ……」
「わたし、も、だいすき……」
普段は決して聞けない鈴のようなかなえの声をもっと楽しみたくて、かなえの足を持ち上げてぐりぐりと腰を押し付ける。泣きそうな顔で、頼りなさげに手を伸ばしてくる姿がどうしようもなく愛おしい。
「かいさん、かいさん……」
離したくないと言うように、腕も脚も巻き付けぎゅうぎゅうと俺にしがみつくかなえの姿はどこまでもみだらでたまらない。
「もっと……かなえのいやらしい姿、見せて……」
しつこいくらい繰り返し繰り返しかなえを求めて、普通だったら言えないような言葉も馬鹿みたいにささやいて、溶け合いそうなくらい隙間なく肌を合わせる。
気付いた頃には宣言通り……かは知らないが、かなえはすっかり気を失うように眠りについていた。
起きたら文句を言われるだろうか。しつこいとか、長いとか、意地悪だとか。最後の方は息も絶え絶えといった感じのかなえをなだめすかして、半ば無理くり色んなことを言ったりやったりして、たくさん泣かせてしまった。
「まあ、さっきああ言ったばっかりだし。」
お互いちゃんと気持ちを伝えられるようになろうと言って、そのとおりにしたまでなので、そこは許してもらおう。
「かなえ……」
面と向かってはまた言えない愛してるの言葉をささやいて、湿気た布団に潜り込む。携帯の液晶にはいつの間にか変わってしまった日付が浮かんでいた。