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▼ 赤井さんちの双子くん

※組織崩壊後。
降谷さんキャラ崩壊注意。赤井さんも若干注意。
名前変換無しで、デフォルト名は『秀二』です。



その男は、己の名を呼ぶ声に足を止めた。
たいそう驚きを含んだ声を出した人物は、男の腕を強く掴んで振り返らせる。きょとんとしたオリーブの瞳と蒼い瞳が交差した。

「お前っ‥‥その髪!」
「俺の髪に何か付いているか?」
「違う!その長さはライ‥‥!いやそうでもなく!」
「なんだ」
「何故たった数ヶ月でそんなに伸びた!?」
「?髪は三年ほど前から伸ばしているが」
「‥‥‥!?」

訳がわからない、と頭を混乱させる呼び止めた人物――降谷零。対する呼び止められた男の方も首を傾げて降谷を見つめる。
そして、爆弾のような一言を落としたのだった。

「ところで、君は誰だ」



×××



「かっ風見大変だ!俺はどうやら疲れているらしい!」
「降谷さん、私は前々からそうおっしゃっているではないですか。漸く休む気になられましたか?」
「やはりそうか!いやな、今廊下でアメリカから戻ってきたところだったんだろう赤井を見かけたんだが、あいつ、俺の事を誰だと言ったんだ。髪も潜入時代並みに長くて。でも声も顔も赤井なんだ。あはは、やっぱり俺の頭が可笑しくなってるのか幻を見た」

から笑いを続ける降谷を心配そうに見る風見。しかし、同時に風見はその言葉に引っ掛かりを覚えていた。

そして気が付く。つい先程、FBI側から降谷に報告する様に伝達された事案だと。
降谷さん実は、と開きかけた口は降谷の背後に現れた男の姿を認識した事で噤まれてしまった。

「君。俺は幻ではないぞ」
「あ、出た。赤井の幻」
「‥‥‥だから、幻ではないんだが」

なんとかしてくれ、とオリーブの瞳に訴えられてたじろぐ風見。分かっていても、その全く同じと言っていいほど似ている雰囲気や声に萎縮してしまうのは仕方がない事だろう。

しかし、そんなカオスな空間にまたしても爆弾が落とされる。
騒がしいぞ、と入室してきたのは―――、

「おお、これは俺がよく知っている今の赤井の姿だ」
「‥‥どうした降谷くん」
「こっちは俺の事を知っているらしいぞ、風見」
「降谷さん‥‥すみません、赤井捜査官方。この人は大変お疲れで‥‥」

短い髪の、見慣れた赤井秀一の姿。髪の長い“幻”はそっとそのそばへ寄る。
珍しく困り顔をしている様子に、秀一は“幻”にどうしたと問うた。

「俺は幻らしい。なんとかしてくれ、秀一」
「‥‥話が見えないんだが。まずはちゃんと説明しろ、秀二」
「説明も何も、俺にもさっぱり‥‥」
「こ、ここは自分が‥‥!」

同じ様に首を傾げる赤井“たち”。降谷は相変わらず「赤井が分裂した」と頭を抱えるのみ。
これは自分がなんとかするしかないと名乗りを上げた風見。三人の間に入って分かる限りの状況説明をすると、漸く赤井“たち”は納得した、理解した、と落ち着いた。

「自己紹介が遅れたのが良くなかったな」
「そうらしい。君、俺は赤井秀二。秀一とは双子という関係だ」
「‥‥‥ふたご」
「降谷さん、赤井秀二捜査官は本日から公安とFBIの合同捜査に参加するそうです。報告のタイミングを逃してしまいまして、申し訳ありません」
「‥‥‥双子」
「秀二は今まで本部に留まって色々とサポートをしてくれていたんだ。秀二、此方が降谷零くん」
「‥‥‥あ、あれか。秀一に噛み付いてくる、金髪碧眼で地黒で、タレ目で勝気で、ティーンにしか見えない日本公安警察のエース」
「そこまで分かっていて何故気が付かない」
「‥‥‥‥‥」
「捜査以外では働かない頭は健在か」
「お前も大概だからな、秀一」
「‥‥‥‥‥‥」
「‥‥‥‥‥‥」
「‥‥‥双子、かぁ」
「降谷さんお気を確かに!お二人も截拳道の構えをといてください!」

無言で睨み合う双子と呆けた降谷。

少しの間を置いて正気に戻った降谷が声を荒げるまで、この空間で一人取り残された風見は生きた心地がしなかったという。




ーーーーーーーー

相模様より、『赤井の双子』でした!
たいへんお待たせしました‥‥すみません!

赤井さんの双子、楽しいですねこれ。
兄にするか弟にするか迷いました‥‥。結局、名前が『秀二』と安直に納得してしまい、本編では明確にしていませんが弟になりました。

裏設定?として、赤井さんが髪を切ったら自分は伸ばす、みたいな感じです。世良ちゃんとかに弄られてもされるがままです、この弟は。

山なしオチなし意味なしのようですが、お楽しみいただけると幸いです。


お持ち帰りは相模様のみです。
この度は94000キリ番報告ありがとうございました!
これからも気軽にサイトに遊びに来てくださいね、お待ちしております!

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