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▼ 双子のプライベート

※『降谷さんちの双子くん』番外編的。
デフォルト名のまま、変換無しです。



ノックをすれば直ぐに返事はきた。一言「入るぞ」と声を掛けて扉を開くと、床に並ぶ顔、顔、顔。

思わずぎょっと口元を引きつらせた零を見て、唯は可笑しそうに笑った。

「嫌ってほど見慣れてるんじゃないの?」
「こんなにマスクが並んでいるのは初めて見た。なんだ?天日干しでもしてるのか」
「んな訳ないでしょ」

揶揄う言葉に呆れた声色で返し、唯は顎に手をあてて小さく唸る。
零は扉のノブを持ったままの状態を解いて、しかし部屋に足を踏み入れることもできないので腕を組んで壁にもたれ掛かり、異様な部屋と唯を見渡した。

ズラリと床一面に敷き詰められたマスクの中心に立って唸る男の姿は、異様、シュール、ホラー、様々な言葉で表すことができよう。

「‥‥一応聞いておこう。奇跡的に二人揃って取れた休暇に、何してるんだ?」
「午後から出掛けるじゃん」
「そうだな。それなのに唯が部屋から出てこないから、呼びに来たんだけど」
「そろそろ新しい“顔”が必要だと思ってさ。今まで使った事のないものをって考えている内にこうなってた」
「‥‥別にそのままでいいじゃないか。“安室”で問題無いだろ?」
「‥‥‥零が良いならそれで良いけどさ。あ。ねぇ、」
「片付けは手伝わないぞ」
「けち!」



×××



あれ?と聞き慣れた声が背後から。“安室”たち双子が、片や爽やかに、片や気怠げに振り返ってみれば、会釈をする毛利蘭とその足元に江戸川コナンが立っていた。

「安室さんたちと会うなんて、奇遇ですね!」
「こんにちは。蘭さん、コナン君。そうだね、君たちは二人で外出?」
「この後園子と待ち合わせしているんです。それで、このデパートでやっているケーキバイキングに行こうって」

ね!と蘭がコナンに笑いかけれると、対する彼は少し乾いた笑みを浮かべた。
すると双子も視線を合わせてふっと笑う。「まさか目的地も同じだなんて」と透が言えば、こくりと惺も頷いた。

「安室さんたちもケーキバイキング!?」
「以外かい?コナン君」
「‥‥えーと、あはは‥‥ちょっとだけ」
「惺が無類の甘党でね。評判のいいスイーツが食べ放題と知って、休日が合った今日、僕を連れて来たという訳さ」
「ここのお店は、なんでも有名なのパティシエさんが多く所属しているらしくて、あの園子も大絶賛なんです」
「‥‥舌の肥えたお嬢さまが言うなら、やっぱり当たりだね」
「コラ、惺。言葉を選びなさい」
「‥‥‥。早く行こう、透。はやく」
「はいはい‥‥‥ごめんね、二人とも。もうすぐ予約の時間なんだ。またお店でね」
「はい!」
「(‥‥惺さん、“素”とずいぶん人が変わってるけど、すげぇ目が輝いてた‥‥)」

無類の甘党というのは素の彼なのだろうな、とコナンは双子が戯れ合いながら歩いて行く背中を見送る。
二人の姿が完全に人混みに紛れてしまうと、蘭がコナンを手を引いて園子との待ち合わせ場所へ歩き出した。

「ねぇ、コナン君。あの二人、とっても仲良しなんだね」
「双子は特別な何かがあるっていうし‥‥まあ、それだけじゃ無いだろうけど」
「あら?何か知ってるの?」
「い、いや!ほら!なんかミステリアスな感じがするような!しないような!」
「確かに!なんとなく分かるなぁ‥‥ふふ。園子に安室さんたちがいるって言ったら、すごくはしゃぎそう」
「‥‥‥あはは、園子ねーちゃんならそうなるだろうね‥‥」

久し振りであろう双子の休日。二人きりのプライベートな空間を邪魔しては悪いと思いつつも、イケメンセンサーの様なものを持つ園子を止められられる自信がない。
心の内でそっと謝って、コナンは本日二度目の乾いた笑いを浮かべたのであった。






「‥‥‥しあわせ‥‥」
「一度にそんなによそってきて、食べきれるの?」
「透!これめっちゃ美味しい!」
「聞いてない‥‥」
「ほら、あーん」
「はいはい‥‥‥あー‥‥ん、ほんとだ」
「テイクアウトしよう」
「家でも食べるのか!?」
「大丈夫、透の分もちゃんと買うから‥‥‥っ!なんと、このスポンジ、とてもふわふわだ‥‥やりよる」
「頼むから会話をしてくれ!」





ーーーーーーーー

戒様より、『双子くんの話』でした!
兄のために変装する弟に萌えていただけて嬉しい限りです、ふへへ。
なので、変装ネタを少し入れつつ、降谷の二人と安室の二人もそれぞれ入れつつ、ということでこの様な話になりました。

個人的に、弟に振り回される兄が好きでして‥‥普段は兄の為にひたすら自分を殺して動く弟も、甘い物の前では我を失うというアレでして‥‥僕が好きなんです、すみません、楽しみました←


お持ち帰りは戒様のみです。
この度は79000キリ番報告ありがとうございました!
これからも気軽にサイトに遊びに来てくださいね、お待ちしております!

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