「なんか、意外。ロビンがこんなの作るのって」
 単純かつ素朴な疑問を口に出してみる。
「……そう?」
 うららかな陽射しの中、きょとんとした顔でそう答えるロビン。
 その手には、紫色の蓮華で丁寧に編まれた花冠。
 はい完成、と私の頭にのっけて嬉しそうににっこり微笑む。
「だって、ロビンにしちゃ乙女チックじゃない」
「あら、私だって一応女の子よ?」
「えー、女の子ってトシかなあ」
「まあ。ひどい事言うわ」
 ロビンはくすくす笑いながら後ろへ倒れこみ、芝生の上に仰向けになった。
 少し眩しそうに私を見上げ、裾を掴んで言う。
「ね、航海士さんも」
「ん」
 花飾りを頭から外して、私もロビンと同じように寝転がった。
 そのまま腕を真っ直ぐ上へ伸ばして、それを太陽に翳してみる。規則的に並んだ花たちの隙間から、陽の光がきらきらとこぼれ落ちてくる。
「これ……この冠、ほんとすごいわね」
「ありがとう」
「めちゃくちゃ細かいし」
「私器用だもの」
「え? それ自分で言っちゃう?」
「ふふ」
 いいな、楽しいなって、シンプルにそう思う。ロビンとこんなふうにただ笑いあって過ごせる時間を。
 ロビンはどう?
 尋ねてみたい気持ちもあったけど、凪いだロビンの横顔に、私は言葉をしまい込んだ。
 右手でロビンの手を探り、つかまえる。
 左手には花の環を。
 力を込めすぎて壊してしまわないように優しく、けれど、風に飛ばされていくことのないようにしっかりとこの胸に抱いた。



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