※攻め男主
※現代パロ
図書委員である僕。今は放課後、だがここはいつでも静かだ。カウンターに座って本を読んでいると、ポツリポツリ…雨だ。今は梅雨時期だから仕方が無いのかもしれない。
「ジメジメするな…。」
ポツリポツリ、今も雨音は続いている。
そんな中で、一人の男の声。本を読んでいて、人が入ってきたことに気づかなかった。
…どうやら僕は話し掛けられたらしい。
「…それに、暑い。あ、日本は高温多湿だから仕方ないか。」
自己完結している。
僕には関係ないと思い、そのまま本を読み進めていく。
だが、視線を感じて顔を上げると、ソイツと目が合った。
…気まずい。
「やっと顔上げた。」
図書委員か?
人とは余り話したくないが、返事を返してやると、ソイツは嬉しそうに笑った。
「いつもいるからそうだと思ったんだ。…雨、酷いな。」
ポツリポツリと降っていた雨は、ザァーザァー降っている。
ああ、傘を持ってきて無いのに。
「今日は雨で部活が中止になったんだ。」
「…そうか。」
「俺、春野桜って言うんだ、お前は?」
「セブルス・スネイプ…。」
両親の仕事の都合でこちらにやって来た僕は、中々学校に馴染めずにいたから、両親以外と話すのは本当に久しぶりだ。
「その本、面白いのか?」
「…ああ。薬学関係の専門書だ。」
「難しそう…それに、全部英語…。うひゃー、俺にはむりだな。何か面白そうなの無い?俺でも読めそうなやつ。」
人懐っこい笑顔で春野が言った。
「これは、どうだ?」
「おっ、じゃ読んでみるわー。」
カードを記入した彼は本を持って踵を帰す。が、扉の前で僕を振り返った。
「雨が降ったら感想言いに来るからな!」
綺麗な顔で笑った春野に顔が熱くなる。
…男にドキドキするなんて、どうしたんだ僕!
未だに響く雨音に、雨も良いかもしれないとふと思った。