鬱々とした気分。今は私ひとりしかいない。味方さえ誰もいないし、近寄って来るものは皆偽善者だった。
黒い雲は無情にも、そんな私の身体を濡らしていく。寒い。とても、さむい。空腹も相俟ってか、寒さは着々と私の体力を蝕んだ。

ここで這いつくばって、野垂れ死にするのも悪くないかもしれない。

ふとそんなことを思って、私は目を閉じ、そっとその時が訪れるのを待つことにした。








暖かい・・・嗚呼、とうとう私は・・・。

ふかふかと暖かい何かに包まれていた私。誰かに連れてこられたらしい。パチパチと暖炉の焚く音と、何かを書いている音がしてそちらの方を向いた。扉は開いている。どうやら私は死ななかったらしい。
ここは暗い部屋だが、夜目がきく私はきょろきょろと辺りを見渡した。寝室だ。おそらく向こうで書き物をしている誰かのものだろう。私はゆっくりと立ち上がり、光が漏れ出ている扉から、そちらの部屋へと入った。
何かを書いていた人は、全身真っ黒い恰好をしていた。育ち過ぎた蝙蝠のようである。私が、その人をじっと見つめていると、彼はふと手を休めてこちらを見た。反射的に逃げようとすると、声をかけられてしまった。


「起きたのかね。」


そう言った彼は無表情にこちらを見ている。私が立ち止まって彼を眺めていると、

少し待っていろ。

と奥の部屋へ行ってしまった。
私は黒革のソファに座って、大人しく彼を待つことにした。


「飲め。」


良い香りがする。飲み物とはいえ、久々の食事に腹が鳴った。ちらりと彼をもう一度見ると、先程の書き物を再開したらしかった。私は出されたものの香りを幾許か堪能した後、それを一口飲んだ。
何か暖かいものが、じんわりと冷えきった身体に染み渡ってくる。
薬草の匂いがする彼が、何か薬を入れてくれたのかもしれない。
私は大体の量を飲み干すと、次にまた心地好い眠気が襲ってきたので、そのまま目を閉じた。








「お前も、"ひとり"かね・・・。」


先程の彼が私の頭を撫でていた。私は眠い目を少し開けて、彼を見た。


「お前の瞳は・・・綺麗だな。」


私の目は深緑だが、私は彼の目の方が好きだと思った。夜色の深い深い色、そして暖かな・・・何か恋慕のようなものが浮かんでいる。
彼の手は暖かくて気持ちが良かった。私はくあっと欠伸を一つ。


「眠いのか。」


彼は少しだけ笑むと、私をもう一度撫でた。


気づけば彼の膝の上。


気づけば私も彼も一人じゃなかったらしい。


そんな雨の日の話。

-end-
短いけどね。
真相は、このあとの会話文から。






「ねぇ、彼女を見た?」

「うん、ハーマイオニー。スネイプといつも一緒の・・・。」

「・・・あいつ猫なんて飼っていたっけ?」

「僕も驚いてるんだよ、ロン。この前なんか、微笑みながら猫を撫でてたんだから。」

「うぇぇ」

「そんなこと言うもんじゃないわよ、ロン。誰にでも動物を愛でる心くらいあるわ。」

「だって、スネイプがだよ?ハーマイオニー。あのスネイ「・・・我輩が、どうかしたかね?ウィーズリー?」

「・・・!!」

「ほぅ、感心ですな。グリフィンドールの優秀なお三方は、我輩の授業など聞かずともわかるといいたいらしい。これはこれは、真に素晴らしい。ポッター!!これに足す材料は何かね?」

「・・・わかりません・・・。」

「では何故聞いていなかった?・・・ポッター、ウィーズリー、グレンジャーの愚かな行動でグリフィンドール10点減点だ。」

-今度こそend-

学校で書いていた話。
にゃんこと、セブルスの話。



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