【※】全てが終わったあとの話












風が煌びやかに光る長い金髪を揺らした。
青い空の元、一人の少女は神に祈る。
───今日も平和な一日でありますように─



悪魔アザゼルを倒してから二ヶ月がたった。
迫り来る万聖節の死に怯えることも、悪魔との戦いの最前線に立つこともなくなり、
平和すぎる日々をマリアは過ごしていた。
友達もでき、放課後にはアイスを食べ、洋服を見て…ようやく"普通の女の子"になれたのだ。
結社に拘束されていた事、呪いの蝕む苦しみなどは記憶から薄れていった。
しかし、マリアは心からの幸せを感じることはなかった。
心に空いてしまった大きな穴は埋まることはなく、むしろ日に日に肥大化していっているようだった。
原因は分かりきっていたが、口に出してしまえばせっかく手に掴んだ日常を
恨んでしまうことになるようで気持ちを必死に押し殺した。



夜には苦しくて暗い闇の中で光を求めてもがいた。
隠し通さなければいけない禁忌の感情を抱いてしまった罪深きマリアは
その小さな身体に罪悪感と後悔と絶望感をひしめかせ、彼女の心は壊れる寸前だった。
そして、神に隠れるように、誰に向ければ良いか分からぬ祈りを捧げるのだ。
───会いたいよ、ウリエル…。
ずっと傍にいて、いつでも私を助けてくれた、
口が悪く嘘つきで下品で最悪な─最愛の悪魔、ウリエルのことを想う。
───私、こんなにウリエルに依存してたなんて…
胸が苦しかった。体の中で黒く不吉な何かが暴れているような、不安や不満感。
毎晩の様にこの感情に襲われ、耐えなければならなかった。
まるで自分の心とは思えないほどにウリエルを求め続ける自分に恐怖を覚えた。
───彼なしでは生きていけない─
そう確信した時にはマリアは空を舞っていた。
地面に吸い込まれていく刹那、罰当たりな祈りをついには神に捧げる。

───どうか、私を彼の御許へ連れて行ってください───











----------------------------------------------




やはり私は鬱ゲーが好きなようです。
友人に勧められラ・カンパネラをプレイしたのですが、大当たりでした。






TOP



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -