【※】別にラブラブしてない












今日はここまでにしよう、と読んでいた本を閉じ、
リビングから立ち去ろうとすると、何かを蹴ってしまったような気がした。
足元をみると黒いボタンのような物が落ちている。
「なんだろ…コレ」
拾い上げまじまじと見ていると、
「あああああああああああああああああああああああああッ」
いきなり背後から叫び声が聞こえ、驚いて思わずボタンを手から落としてしまった。
「えっ…?」
振り返るとカナト君が物凄い形相でこちらを睨みながら指さしていた。
───い、いつの間に…。
「ど…どうしたの…?」
私は恐る恐る聞く。嫌な予感しかしない。
「…は?……どうしたのじゃ無いでしょう、嗚呼、君だったんですか、君がやったんですね、こんな酷い事を!!!!」
「えええ…?」
「何故こんな事を!?僕がキミに何をしたというんですか!」
「お…落ち着いて…!カナト君!」
「よくもこんな状況で落ち着いてなどと言えますね!僕の…僕の大切なテディの目を引き千切っておいて!!」
「えええ!?」
どうやらとんでもない勘違いをしているようだったが、とりあえずカナト君が怒っている理由が判明しホッとする。
ことも一瞬、すぐに自分の状況を理解し、青ざめる。
「わ、私じゃないよ!私はただ、コレが此処に落ちてたからたまたま…」
「グダグダうるさいですよ!つまり君がテディの目を引き千切ったという事なんですね!?」
「ちがう、ちがう!」
───駄目だ、もう完全に決めつけちゃってる。
とうとう泣きだしたカナト君を、私は兎に角落ち着かせようと、一から説明を試みようとした。
「だからね、違うの…私はリビングで本を…」
「は?よくもそんな見え透いた嘘を堂々と言えますねえ!性根が腐りきっているんじゃないですか?
というか、どうでも良いんですよ、君がやったかやって無いかなんて!つまり結局は君の仕業なんですからねえ!!」
───そんな理不尽なああ
どうやら完全に頭に血が上っているようだ。言い訳すらさせてもらえない。
またか、と私はため息を漏らしたが、薄ら涙を浮かべながら
テディの目を拾うカナト君がとても気の毒に思えてくる。
「私…縫えるよ…?」
一蹴されちゃうかな、なんて考えを頭の隅に、私は恐る恐るカナト君の背中に向かって聞いてみる。
するとカナト君は意外な事に、呆けたような顔で私を見上げ、見つめてきた。
「縫えるの?テディの目を?」
「え?あぁ、うん。そんなに、期待されても困るけど…」
私の答えを聞き、カナト君はスッと立ち上がり私の手にテディを押し付ける。
「…まぁ、当然ですよね、だって君が壊したんだもの」
その言葉を聞き、少し怒りが込み上げてきた気がしたが、それは飲み込んだ。
私は急いで自分の部屋から裁縫道具を取って来て、ソファに座り、膝の上に裁縫道具を広げる。
テディの目をつける程度の事なら、私でも取れる前と変わりないように仕上げる事が出来るだろう。
「…そんなにジッと見られてるとやりにくいんだけど…」
カナト君は微動だにせず私の手元を見つめている。
「早く黙って縫って下さいよ、君のせいでこんな事になったんですよ、
僕だって暇じゃないんですから」
───それは私の台詞なんですが…
何故か、実際私は何も悪く無いというのに、なんとなく罪悪感が芽生えてきた為、
気にせず黙って作業にかかることにした。

「できた!」
5分とかからずに縫い終わる事が出来た。
私は裁縫道具をしまい、カナト君へとテディを差し出す。
「…」
カナト君は黙って受け取り、まじまじとテディを見つめている。
───何か気に食わなかったのかな…
カナト君が何も言わないので私は不意に不安になる。事も束の間、カナト君の頬が緩んだ気がした。
───もしかして、嬉しがってくれてるのかな…?
常に行動を共にして本当に大事そうにしている(キレた場合を除き)テディの事だし、
喜んでくれているという事なのならこちらとしてもまた嬉しい。
「ふぅん、何も出来ない訳では無いんですね」
ひねくれた言い方ではあったが、褒めてもらえたと思うと、なぜだか心が弾んだ。
私はつい得意になって言ってしまう。
「カナトくんのテディはわたしがなおしてあげるから、
いつでも言ってね!」

それから、カナトくんのテディの扱いがますます乱暴になったのは私の気のせいだろうか…







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とてもお久しぶりです…(∂ω∂)
Rejet熱はまだまだ冷めませんよぉ
むしろ新作と聞いてこれからヒートしていくところですかね(≧∇≦)/
いつか無神兄弟も書きたいなぁ、CDないから性格が分からん('_')




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