僕の彼女は、境界性人格障害、らしい。
僕の腕には無数の切り傷に痣がある。
それは全て僕の誇らしく愛しい印だ。
だって彼女が─ペチュニアがつけてくれたものなのだから。



今日も僕は彼女に会いに行く。
本当は僕は同居をしたいのだけど、彼女は潔癖症だから嫌ならしい。
少しでも汚れや汚いものを見ると息が出来なくなってしまうような、重度の潔癖症。
時に僕が触ろうとするのも拒まれる。だから綺麗にしていないと。
小さなアパートの二階の一番奥の部屋、それが麗しい彼女の部屋だ。
インターホンを鳴らしてから待たずに合鍵を差し込み、部屋へ上がり込む。
「やあ!僕のペチュニア、おはよう!」
部屋はシーンと静まり返っている。まだ寝ているようだ。
靴を脱ぎ廊下を進み、彼女が寝ているであろう寝室へ向かった。
「もう、12時だよーペチュニア。ご飯は食べたくないかな?」
返事など全く期待せずに語りかけ続ける。
「僕が会いに来たよ。はやく君の可愛い姿を見たいなぁ」
僕は彼女に早く会いたくて声が聞きたくて、
ベッドの上で布団にくるまり饅頭のようになっている彼女のシーツを剥ぎ取ろうとした。
「触らないでよ!」
彼女の叫び声と共に僕の右肩に激痛が走った。
寝起きは不機嫌なんだ。そんなところも可愛いなぁ。
「目覚まし時計投げたら、壊れちゃうよ?」
自分に投げ付けられた目覚まし時計を拾い、元の位置に戻す。
彼女は足早に僕の触ったシーツを洗濯機に突っ込みにいってしまったようだ。
後を追いながら謝る。
「ごめんね、手はよく洗ってきたんだけど…」
「外に出ておいて、ああ、汚い、汚い、汚い」
そして僕の触った目覚まし時計を磨き始めた。
ごめんね、とさらに謝りながら僕も手を洗う。
「これでいい?」
「ええ」
不機嫌そうに彼女が答える。
合格をもらえた。やった。
このように僕は彼女を怒らせてよく傷を負う。
しかしこんなのが比にならないような数の傷が彼女の体には刻まれているのを僕は知っていた。
「ぺーチュ」
僕は後ろから彼女を抱きしめた。
いい匂いがする、さすが僕のペチュニア。
「…あまりベタベタしないで」
そうだね、と返しながら彼女の髪の毛に顔をうずめた。気持ちいい。
「ペチュ、何か欲しいものとか、ある?」
「どうして?あなたから欲しいものなんて、ないけど」
「バイト頑張ったからさー。ペチュにプレゼントする為だけに貯めてたんだ。なにか貰ってくれよ」
「はぁ?」
いきなり彼女は僕の腕に爪を立て振りほどき、こちらに振り返って睨みつけてきた。
「ど、どうしたの?」
「へぇ、私に内緒でバイトね、可愛い女の子たちと楽しくバイトね、羨ましいわね、楽しかったかしら」
───女の子がいるバイトだなんて言っていないのに…
地雷を踏んでしまったようだ。
「バイト先に女の子なんていないよ。それにペチュ以外の女の子なんかいてもつまらないよ」
「さあどうだか!」
いきなり大きな声を出したと思ったら泣き始めてしまった。
その日は僕は何度も謝り、愛を囁きながらずっと彼女を抱きしめていた。



彼女はさみしやがりだから周りを傷つけて離れていかないか確認しないと駄目な子なんだ。
───大丈夫、僕だけは君から絶対に離れないよ。
そして周りの人は僕に言うんだ。
「お前が1番重症だ」ってね。







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本当に私は幸せで甘甘な文章が書けない…orz
ラブラブなカップル達を書きたいと思ってはいるのですが
どうしても血なまぐさいか鬱エンドになってしまう()








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