【※】ユイちゃんがちょっと怖いユイちゃん






不安で、不安で、どうしようもなくて。
だから、藻掻いて、足掻いて。
貴方を求めて、暗闇の中をひたすら彷徨うの。



「…シュウ」
校内を走り回って、やっと見つけた彼の名を呼ぶ。
「此処に居たんだ、図書室に居るなんて珍しいね…」
「…なんだ、あんたか」
シュウは気だるそうに顔を上げ、眠気眼でこちらを見た。
「もう…また寝てたの?」
「…それ以外何に見える?」
「ふふ、そうだね」
私は小さく笑いながら、シュウが突っ伏している机の隣に座った。
寝始めてしまったシュウのあどけない寝顔を眺めているうちに、不意に黒い感情が心の内を弄る。
此の頃常に自分の中にあるこの感情は、とても邪魔で苦しいもので、
それでもこの感情は私がシュウを好きだという事を確信させてくれる、時に心地の良いものでもあった。
「…シュウはさ、例えばね、私が記憶をなくして、シュウの事が分からなくなってしまっても、私を好きでいてくれるかな?」
私は返事を期待せずに問いかけた。
「…なんだいきなり…」
シュウは起きていたようで、呆れ顔で答える。
本当に気だるそうに見えたが、それでも私は聞かずにいられなかった。
「じゃあさ、私が死んでしまっても、愛してくれる?」
今度は真剣に、シュウに向き合って問いかける。
「だから、なんだよいきなり…何て答えて欲しいんだ?」
───どうなんだろう。
記憶が無くなっても、死んでしまっても、シュウが私を愛してくれる、
そう言ってもらえれば、この胸の内の黒い感情を消せるのだろか。
「…分からない…」
私は戸惑いながら答えた。
───どうしてこんな事を聞いたのだろう。
先ほどまで熱くなっていた感情が急速に縮こまっていくのを感じた。
他人に感情を向ける事さえ面倒くさがっているシュウに、好意を向けてもらえる事が嬉しい。
自分を必要としてくれている事がこの上なく嬉しい。
自分以外に触れるシュウを見ていたくない。
シュウに飽きられる事が何よりも怖い。自分だけを見ていてほしい。
それは本心だったが、心の底では、シュウには何にも動じない絶対的君主でいてほしいと願っている。
自分が死んだ程度で動じてほしくない、それでも愛してほしい。
そんな両価感情に私は惑わされていた。
「…後を追ってでも欲しいのか?」
シュウが嘲るように言ったその言葉に、何故だか心惹かれるものがあった。
「…それも素敵ね…二人で一緒に地獄…っていうのも、魅力的。
でも、ねぇシュウ、もし私に飽きたら、私を殺してね。シュウが私を好きな内に、そうして」
私はうっとりするように呟いた。
「…なんだ、あんた死にたがりか?」
「シュウにそうしてもらえるなら、それでも良いよ」
シュウの問いに、微笑みながら答える。
本気で、それは素敵な死に方だと思った。
「ふん…ま、何処に行くにせよ…二人一緒だ」
呟かれたその言葉に、はっとした。
「あ…」
嬉しい。単純にそう感じた。と、同時にどうしようもなく安心した。
「…そうだね」
いつの間にか私を苦しめていた黒い感情は消えていた。
「ほら、来いよ」
意地の悪そうな笑みを浮かべながら、シュウが手を差し伸べてくる。
シュウがいつでも私を救ってくれる。私にはもうシュウしか必要ないのだ。
全身でそのことを感じながら、私は素直にシュウに身をゆだねた。
同時に、授業開始のチャイムが鳴る。
「…良いのか?」
「うん、どうでもいいよ。授業なんて」
「即答か…毒されてきたな、俺に」
「ふふ…そうだね…」
そのまま二人で闇の中へ眠りに落ちた。










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狂ったユイちゃん可愛い。
シュウさん好きすぎて辛い。
個人的にゲームのシュウさんはもっと残虐で良かったと思ったが
もうシュウさんなら何でもいいや^p^





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