「……ぐー…」


「寝たふりするんじゃねー」


「いたっ」


チョップされた。さすがに寝たふり作戦は通用しないようだ。楓は途方に暮れた。
どうやってこの状況を打開しようか、もうこの際雲雀からの仕事の電話でも良いから何か打開できるような事が起こってくれないだろうか。

そう神頼みならぬ、雲雀頼みを机に顔を突っ伏したままの状態でかれこれ5分はしている。わたしの念が雲雀に届いても良い頃合いのはずなのに携帯はびくともしない。世知辛い世の中だ…。
某ヒットマンにはそろそろ銃口を向けられてしまいそうだし、本当にどうしよう。


「お前、俺が何者か知ってるみてーだな。裏の人間か?」

頭にゴツッ…と多分銃を突きつけられる。地味に痛い。
5分の間わたしは言葉を発していなかった。というのに例のキャツはわたしの心を見透かしたように言葉を連ねた。

定番の読心術というやつだ。ここらへんはご都合主義で心を読まれないようなオプション付いてたら嬉しかった…。
シラを切りたいよ…でもこれも多分全部筒抜けなんだと思うと、今までのアホな考え読まれてたり?恥ずかしさで死ねる…。

そもそもの話、異世界人です。とか言っても信じてはくれないのは目に見えているし、私がリボーンの立場だったらコイツ頭おかしい奴だ。殺っとこう。ってなる。うん。
打開策もなければ嘘もつけない、嘘をついたところで変人扱い…これは逃げ場がない。


「…異世界人、まぁそう言われたら頭おかしい奴だと思うのが普通だな。訳ありで嘘でもねぇなら信じるしかねぇな。ありがたく思えよ」


「…では、あの、信じてくれたのなら、銃口をのけてもらえないかなー…って…」


顔を上げるも、悲しいことにわたしの頭にはまだ冷やりとした重く硬い銃口が向けられていた。


「それはできないぞ。お前が持ってる情報を聞き出して、それを外部に漏らさないって保証を約束してもらわないとだからな」


ニヒルに笑うボルサリーノの赤ん坊に背筋に寒気を感じた。






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