6.
2015/12/15 21:51








激しく脈打つ心臓の音
蝉の声

張り巡ら為れた血管の様にすら見える薄羽の紋
何処を見据えていらっしゃるのか、
わたしには知る由も無いその眼

あなたにお尋ねしたい事が少々。

ひとつ
あなたが這い出した桜の木の下に、死体は埋まっておりましたでしょうか。
…ほう、骨と添寝を。其れはまた温もりも無く、
凍る冬は難儀だった事でしょう。

ふたつ
あなたが鳴き終える時、最期の一声は誰かに聞いていて欲しいと願うものなのでしょうか。
…成程、余り深く考えていないと。腹の中身だけで無く、頭の中身も土の中へ置いて来てしまわれた御様子。
然し、生き急ぐあなたにはぴったりではありませんか。


「 片手に羽、片手に声帯。
両の手は塞がり、其の上
六腑携うには
此の身では余りに重く
なれば夢々、
一夏、限りの灯火を鳴く 」



嬉々として幼子が携えるあなたの抜け殻

ゆっくり、おやすみなさい












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