3.
2015/12/15 19:32





かすかな波の音に、目を覚ます。傍には、夜がひそりと横たわる。ああそういえば、俺は眠る前に珈琲をひとつ飲んで、好きな雑誌を広げていたところだった。時間を確認する気にもなれず、呼吸ついでに仰向けになる。ちかちかした電灯は、一週間前からちかちかの儘今日も其処に有る。知りたくもない天井の染みを、俺に知らせてくる。
手持ち無沙汰に立ち上がり、布団から抜け出すと静かに夜がついてくる。水を欲しがって手を伸ばす、また喉が乾いたらしい。蒸発を恐れ、それは仄かな月明かりを好む。塩辛いのが何より苦手で、そのくせ甘いものも得手としない。けれど、偶に生クリームを欲しがってうまく寝付かない。俺は、八分泡立った白を性急に掬う指先が好きだった。

今宵、再び闇が巡る。かすかな波の音に目を覚ます。
傍には、夜がひそり、と横たわる。






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