9.
2015/12/22 22:06








覚束ぬ足取りで
背が高い葦が群生する、小高い山裾をゆく
小指に纏わりつくつむじ風と
咲くか咲かぬか、
未だ知れぬつぼみを
爪先であやしながら

赤い欄干の下で
釣糸を垂らす太公望の魚籠には
希望と、渇望と、絶望と云う名の魚が
きらきら
正しくならんだ白銀の鱗を翻し
虹色の水底を泳ぐ
ぴん、と立った背鰭は
触れておらずとも
凍える程の水の冷たさを思わせる

尚も、
餌に食いつきしなる竿先の魚の目を
見届ける心持ちにはなれず
私は足早に
軋む橋板を渡ったのでした












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