覚束ぬ足取りで背が高い葦が群生する、小高い山裾をゆく小指に纏わりつくつむじ風と咲くか咲かぬか、未だ知れぬつぼみを爪先であやしながら赤い欄干の下で釣糸を垂らす太公望の魚籠には希望と、渇望と、絶望と云う名の魚がきらきら正しくならんだ白銀の鱗を翻し虹色の水底を泳ぐぴん、と立った背鰭は触れておらずとも凍える程の水の冷たさを思わせる尚も、餌に食いつきしなる竿先の魚の目を見届ける心持ちにはなれず私は足早に軋む橋板を渡ったのでした