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優しい子だと言われた。
他人の気持ちを分かってあげられる子だと言われた。
でもそんなの当たり前じゃない?
だって、私はアナタで貴方はワタシなんだから。
私にとってはそれが普通だったんだけど、アナタ達とは違ったみたい。
おかしいね。
私はアナタ達の全てを受け容れたのに。
結局、私はアナタじゃないし、貴方もワタシじゃなかった。
貴方達にとってワタシは異常だった。
☆
箱庭学園入学式。
私の所属する事になった十三組、とやらは登校義務が無いらしいが、入学式くらいは出ておこう。
そう思って私、春日晴日は長い廊下の一番端にある教室に向かって歩く。
そこは同じく3月に中学校を卒業した同級生で溢れかえっていた。
いろんな人がいて、至って平坦な光景。
だがそれも自分の教室の引き戸を開けるまでだった。
「……っう」
・・
明らかに違う。
私はそう確信した。
そこにはぽつぽつと席が埋まる程度にしか生徒はいないのに。
受け容れることができないほど溢れ出る強大な何かに私は気分が悪くなって思わず後ずさりした。
ドン
不運だったのはその時ぶつかったのが男のくせに美貌としか言い表しようの無いような長髪と、どこまでも尊大で偉大であまりにも自分のことしか考えていない王様のような人間だったということだった。
「――――――ッッ!!!」
流れ込んでくるそれは余りに暴力的で。
許容量なんて一瞬でオーバーした。
訳も分からず目の前が真っ白に塗りつぶされるように色を失っていって。
私の意識はそこで途切れた
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