西京駅の近くで目的の物を買った後、七夕ラリーの判子をもらおうと冬馬は千代田区の外れに来ていた。鞄からメモ帳を取り出す。店の名前を確認し、店の看板を見る。
 ――雨読庵。本をすすんで読まない自分とは無縁の古書店だ。扉を開け中に入ると、古本独特の埃っぽいようなカビくさいような匂いがした。
 店内には背の高い大きな本棚に古本が沢山並べられていた。そこに収まりきらなかった本は、どうやら壁際においてあるようだ。
 店内を見回しながら、店主の居る帳場へと向かう。帳場の前に立つと、店主が顔をあげた。
「いらっしゃい」
 鞄に手をいれ、中から台紙を取り出し、店主に見せる。
「あぁ、判子だね」
 冬馬から台紙を受け取り、机の上に置く。そして引き出しから判子と朱肉を取り出し、台紙に判子を押した。
「はい、どうぞ。これが一つ目だけど、次は何処に行くか決めてるのかな?」
 店主から台紙を受け取り、鞄へしまう。そしてついでに黒いケースの中からホワイトボードを取り出した。
『決めてません』
「そっか。君、多分学生さんだよね?」
 ボードには書かず、軽く頷く。そしてボードに"西京です"と書いて店主に見せる。
「西京かぁ。だったら、STAR☆CROWNが集まるんじゃないかな」
 STAR☆CROWN――西京都で一番大きなアイドル事務所。確かに同じ西京学園内にこの事務所に所属している生徒や先生が居る。なら、明日学校に行ったときに集めよう。
 ボードにお礼の文字を書き、店主に見せる。そしてボードを鞄にしまい、近くの本棚の前に立つ。普段なら買わないが、せっかく此処にまで来たのだから一冊ぐらい買っておこう。
 本の背表紙を眺め、気になるタイトルの本を手に取り、店主に渡す。
「150銭だね」
 お金を渡し本を受け取る。そして受け取った本を鞄へとしまい、出口へ向かう。
「ありがとうございました」
 最後の1つはどこにしよう。そんな事を考えながら冬馬は店を出た。




西京七夕ラリー判子数:1つ


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