00 「その髪にふさわしい顔をあげましょう」 "見たものは恐怖のあまり、石となってしまうほどの恐ろしい顔を…!" アテナの凛とした声がそう紡いだ瞬間、柔らかかった肌の感触が固く変わっていくのを感じ、メリメリッと耳が尖っていき目がせり出して乾く。 そして小さかった口は裂け、鋭く立派な犬歯がこぼれた。 「きゃぁあああッ!!」と喉から飛び出した悲鳴さえも恐ろしい呻り声にしか聞こえず、周りにいた動物たちは驚いてこちらを見るなり動かなくなりそのまま石へと変わっていく。 こちらを見た全ての生き物の眼は恐怖に染まり、そのまま石へと変わって動かなくなってしまう。 (見たもの全て……?じゃあ、『あの人』も……?) 「い…、や……ッ」 見せてはいけない…! 見られたくない……ッ!! こんな醜い姿を、『あの人』に見られたくない…!! 怪物となってしまった少女は泣きながら人々の目から逃げていき、そのまま恋人と二度と会うことなく命を落とした。 著:水城 |