-奪われた真実-02 「それが、わたしの宿命です。彼も、わたくしと同じ地で死す事となりましょう」 強い覚悟を宿した瞳で見つめてくる時の彼女は、何があろうとも頑として譲らぬ事を、セージは痛い程知っていた。 相手の男もこうなる事を想定して彼女と一緒になったに違いない。 ……何故、こうも頑固で融通の効かなく、扱いにくい者同士が惹かれ合ってしまったのだろうか。 そんな事言った所で今更どうにも出来まい。 「理解した」 マスクの下で目を伏せた教皇セージは立ち上がると、女官を見下ろして厳かに宣言した。 「……アテナに仕える徳の高い女官という立場でありながら、異性と通じた罪により、聖域を追放致す」 「ハッ」 「護衛として、獅子座も連れて行くが良い」 「ありがたき幸せ」 穏やかに笑った彼女の顔が途切れて、ザザっと景色塗り替えられていく。 石段の積まれた厳格な聖域から、森林に囲まれた豊かな大地へと変わる。 (…………!?) ジャリッと小石を踏む感触で辺りを見渡すと、拓けた川辺で無邪気に遊んでいる小さな子達が見えた。 浅瀬で追いかけっこをしたり、バシャバシャと水を掛け合いながら遊ぶ小さな男女の幼子達にエレナの頬が緩む。 しばらく見ていると、あの女性が林から姿を現して二人に微笑みかけた。 「エレナ……"レグルス"……!!」 (………―――え?) 「はぁい」とタタッと彼女に駆け寄った子供。 片方は彼女と同じ金色の髪と、もう片方は枯れ草のような髪色をしており、 二人とも同じ青い瞳をしていた。 [*前] | [次#] 戻る |