20万打・五周年企画 | ナノ



じじいが出ない

「三日月、宗近さん」
「なんだ?審神者よ」
「何で、出てきてくれないんですかっ!!!」


うがー!と力の限り叫ぶと、背後で「はっはっは」とのんびりとした笑い声がした。
縁側に腰掛ける宗近の隣に並びながら唸った。


この三日月宗近は……十一世紀に造られた刀でかなりの年期が入っている。

自他共に認める、じじいだ。


出陣時のその強さ、自分を「じじい」と称する絶妙なキャラセンス。
天下五剣の内で一番美しいと語られるだけあって、ものすごい美形だ。

……だが、じじいはなかなかドロップしない。
鍛刀も出てこない。
そのレア度から、じじいを追い求めて迷走する審神者も続出している。

私もその中の一人だ。
本命の鯰尾と骨喰が出てくれば満足だと思っていたが、二次作品を漁る内にじじいが気になって頑張って作ろうとした。


だが、でない。
本当に出ない。



「昼間は学校なので朝と夜の短い時間の間に日課をこなし、出陣と遠征そして任務を繰り返しながら少ない資源をやり繰りしつつ、ネットでレシピを見てきてるのに!!!全っっっっ出てこないんですけど!!!!ついには玉鋼が足らなくなりました!!!畜生!!」

「ん、そうかそうか」

「このやろう!!!くそじじいっ!!!どこ見ても徘徊してる貴方を探している人ばっかりですよ!!なんで全然ドロップどころか、鍛刀しても出てこないんですか!!もうっ!!!」


本命の鯰尾と骨喰は早々にドロップした。
それどころか、鯰尾なんて7人くらい手元に来た。(内の6人は仲良く錬結していった)
二人はいつも第一軍で活躍しながら、他の子たちのレベルアップに励んでくれている。

まだ運が良い方なのか、刀剣乱舞を初めて数日しか経っていないが太刀も大太刀も手元に迎える事ができたから割とスムーズに進めていると、思う。


けど……!!!


「やっぱり、来てほしいじゃないですか!!」
「ふふ」
「この前の演練なんて、貴方が居るところとやったら他の刀は一撃で倒せたのに貴方だけ最期まで残ってるし、一撃でばっさばっさ倒していくからあと1ターン多かったら確実に負けてましたよ!!ふざけんな!!」

「天下五剣の一つだものな」

「描いたら出るとか、撮ったら出るとか言うので最早運に頼るしかないんですよ!!」

「ああ、巷ではそう言われてるらしい」

「なので!文章を書いて願掛けですっ!早く私のところに来てください!」

「うむ、善処しよう」

「あ、私の友人もそろそろ貴方を迎えるためにリアルマネーを費やしそうなんです。彼女のところにもお願いします」


正しくは、彼女じゃなくて彼女”達”だ。
知っている限りの私の周辺のプレーヤーでは、じじいを手に入れた人はいない。

私の影響で始めた友人も、そろそろ「じじい……」と言いながらげんなりし始めている。
これだけの人たちが求めているのに、なかなか出てこないだなんてなんて罪作りなじじいなのだろう。


必死に無い資源を集めながら唸っている此方に対し、本人は至って涼しげな顔で穏やかに微笑んで頭に顎を乗っけてきた。



「あははは、頑張ってくれたまえ」




20150201


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