破滅の国のアリス | ナノ



私は今日も空を見る



籠の中から
青く自由なその空を










だってその空はあなたと同じだから










空のように晴れやかで
掴み所の無い自由気侭なあなたと



屈託のない無邪気な笑顔で
その大きな手で頭を乱暴に撫でたあなたと










その空は同じだから










だから私は空を見る
憎しみの籠った眼で
その嫌みな程晴れ渡った空を
憎悪の眼差しで見上げるのだ










あなたが憎い










私を置いて行ったあなたが
私を裏切ったあなたが










憎くて憎くて仕方ない










あなたはいつも自由奔放で
私はそれが羨ましかった
私は自分を全て曝け出して
外の世界を見る勇気がなかったから



あなたはいつも輝いていて
私はそれが眩しかった
私は感情のままに
笑うことも泣くことも出来なかったから










だから私はあなたが羨ましかった










私に持っていないものを
私が望んで止まないものを










その全てを持っていたから










それなのに
あなたはまだ欲した



私にはないものを持ち過ぎていながらも
それでもまだ
あなたはそれを欲した










そしてあなたは私に重荷を持たせた










本来あなたが背負う筈の重荷を
私にその全てを押し付けて
私から今以上の自由を奪い
その自由をあなたは手に入れた









憎い憎い憎い
幾ら憎んでも憎み足りない










私から自由を奪って
あなたは最高の自由を手に入れて
そして今もどこかで笑っている



私には持っていないものを持って
私から奪ったものを持って
私にはない全てのものを手に入れて










あなたは今日もどこかで私を嘲(わら)っているのだろう










憎くて憎くて仕方ない
そして憎んでも憎んでも憎み足りない










だからいつか私はあなたから
その全てを奪いましょう
奪って全てを手に入れて
そして私も自由を得るのです



私はあなたの自由を手に入れて
この鳥籠の世界から解き放たれる










私は今日も籠の中
鎖でつながれた檻の中
今日も私は夢を見る




















あなたのいない 空ろな世界を





























くて憎くて、   
  それでもしい



* 兎の数を数えるのは鳥と同じ数え方なので、鳥籠で(笑
時計兎は兄の三月兎を兄として本当に好いていたのですよ
2008,9,14