「何て事思い出しちゃった」

にへらと気の抜けた笑顔を溢しながら行儀よく椅子に座る彼に、二人は盛大な溜め息を吐いた。

「・・・それは所謂・・・ノロケ話ですか?それとも喧嘩した話ですか?」
「ううん。ただ僕が腹を蹴られ顔を殴られしただけの話だよ」

にこり。

満面の笑みで痛い話をする彼に二人は言い様の無い不安を覚えた。
大丈夫か、この人と。


「・・・ごほんごほん。とにかく、休憩は済みましたか?」
「勿論。というか、僕は一言も休もうなんて言ってないのになぁ」
「しかし、貴方の体に支障が出てはなりません」
「大丈夫だよぉ。万一僕が百パーセントの力を発揮できなくても、二人が補うんだから。そのために連れてきたんだよ?」
「「光栄です壱号様」」

頭垂れる二人を見つめながら、彼は椅子から立ち上がる。


「ま、その万が一は有り得ないから二人は好きに動いてね?
それじゃあ、行こうか」

コツと靴を鳴らしながら歩き出す。
前を行く彼と、後ろにつく二人。

そのまま人混みに紛れて町を歩く。然れど、その混雑の中で彼の隣を歩く者はいない。

許さないから。
その距離を誰かが埋めることを彼が許していないから。
だから彼の隣は今日も空っぽ。



―けど、それでいいんだよ。

それが彼が決断した結果の代償だから。
友人を、彼女を裏切った証だから。

だからもう、誰一人として隣に並ばせはしない。



「さぁ迎えに行こうか。僕らを救世主たる・・・“零号”様を」

そう後ろにつく二人に彼は―ウェント・オルファーンはあの日と変わらない笑顔で微笑んだ。


++++++
二人が別れて、リグゼートがナズと出会って(というより銃に憑依されて)から暫く後のウェント君サイド。
お話書きたいけど、書きたいものがバラバラあるなかでそれを繋ぎ合わせる技術がない自分・・・orz



その後妄想していてウェントがどんな人間か探ってました。

そしたらまさかの(リグゼート限定)ドM疑惑浮上とか↑の雰囲気台無しなお話。




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