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「でね、 マルタったら、コレットのこと嫌いじゃないのに何故か意地はっちゃうみたいで…」
「へぇ、マルタが?珍しいね」
「だよね」

あれから誰も来ることなく、数時間が経った。
二人で他愛ない話をしていると、廊下が騒がし…というか人が走ってくる音が聞こえてきた。

「エミルー!アンジュにエミルが怪我したって聞いたんだけど無事!?」

大声をあげてドアにぶつかるんじゃないかというほど勢いよく入ってきたのは、サクヤだった。

「軽い捻挫だよ」
「ルカが手当てしてくれたんだ」

だから大丈夫、と言うと、安心したサクヤはルカ凄い!と言いながらエミルの横に座る。サクヤが来たことで医務室は一気に騒がしくなった。

「ルカって凄いんだよ。てきぱき手当て して」
「そ、そんな…これくらい普通だよ」
「へえ…僕も怪我したときはよろしくね!」
「うん、僕でよければ」

サクヤを混ぜてまた話を再開すると、荷物を持ったアニーが帰ってきた。

「遅くなってすみません、ルカさん。怪我人や病人は来ませんでしたか?」
「あ、うんエミルが」
「だだだ誰も来なかったよ!ね、ルカ!」
「?……う、うん」
「そうですか。エミルさんはあれからずっと?」
「うん」
「そうなんですか。ありがとうございます」

アニーは荷物を机に置くと、ルカとエミルにお礼を言う。アニーの用事は終わったようなので、ルカは部屋に戻ろうと勉強道具を抱えた。

「それじゃあ、僕はこれで。またねアニー」
「はい。本当にありがとうござ いました」
「僕もそろそろ…サクヤは?」
「あ、僕ちょっとアニーに用があるから」
「私に?」

用があるというサクヤおいて、二人は医務室を後にした。




「どうしてアニーに言わなかったの?」

部屋に戻る途中、先ほどエミルが怪我のことをアニーに隠そうとしたのはどうしてなのか、気になったので尋ねてみた。

「あ、あれは…」

エミルは転んだ時の事を話す。
勝手にコレットを助けようとして勝手に怪我をしたのに、きっとコレットは自分のせいだと思ってしまうだろうから、あまり多くの人にこの怪我のことは知られたくないのだと。

「そっか、エミルは優しいんだね」
「そんな…ただ、助けようとして怪我しただなんてカッコ悪いから」
「あはは 。だけどさっきのサクヤの騒ぎ…」
「あ…」
「結構な大声だったし…誰かが怪我をした、っていう情報はわりとすぐ広まるよね」
「うう…」

噂の広まりやすいアドリビトム。すぐにエミルとコレットの話は広まるだろう。それに、目撃者はアンジュだけではなかったのだから。


後日、コレットがお花を持ってお見舞いに来たのはまた別の話。


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「マイペース」のそら様より相互記念に頂いた「エミルとルカのほのぼの」話です!
うわぁ・・・可愛い
これは癒されます、本当に可愛い!
そら様のところのディセンダー、サクヤ君も出てくれて嬉しかったです!サクヤ君大好きです!
素敵な文章を本当にありがとうございました!

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