変わる日常
QUPに入ってから、日常が変化した。
横山さんや上原くんを名前呼びにして、タックルなみに抱きつかれたり、思い切り頭を撫でられたり。
帝光中にいたときより、私にとって輝いて見えた。


「私が入ったから、4人でのダンスを5人のダンスにするんだね。」
「まあ、そういうことだ。」
「大丈夫かな……。」
「大丈夫に決まってる。それに、こういうのは楽しんだもん勝ちだ。」
「んじゃあ、早速……珠李にステップ教えっか!」


練習が始まり、全員で一つずつステップの確認。
そして休憩では、私がやる予定のダンスを見せてもらった。


「なんか…すごすぎ。」
「これを珠李がやるんだぞ。まあ珠李なら大丈夫なんじゃないか?」
「そうだよ。私だって最初は翔弥についていくのやっとだったしね。」
「そう言うんだったら、休憩終わりにするぞ。」
「今関係あるのかな?でもちゃんと休憩しないと、三人がついていけなくなるよ?」
「……冗談、」
「には聞こえないね。それとその言い方前にも聞いた。」


翔弥のことはほっといて、再び練習が再開した。
ステップからターン、リズムよく刻み4人についていった。


「(結構ついてってんじゃん。でもこの先が俺でも難しいと思えるとこなんだよな。)
おりゃ!!」


翔弥が勢いよく、ブレイクダンスを踊る。その横で私たちはほぼ同じくらい難しいステップを踏んでいた。
覚えたてもあり、足を踏み外して体制を崩してしまった。


「あ、と。」


ところどころ間違えたけど、なんとかその一曲を通すことができた。


「珠李にしては上出来じゃないか?」
「よかった、」
「ちなみに踏み外したとこ、全員一回は間違えてるから。」
「あはは、」


そのことを聞いて苦笑いする。
それと、翔弥とキヨの後ろで、陽希が頷いていた。


「全員ってことは、陽希も?」
「…ああ。」
「何でもできそうだけど、そうでもないんだね。」
「俺ができるのはバスケと農業とちょっとのダンスだ。」
「ドヤ顔でいわれても…。」


今まで見たところでは最上級のドヤ顔で、後ろでは3人が笑いをこらえていた。
それに気づいた陽希は、深くため息をついてどこかに行ったと思ったら、鍬を持ってきた。


「は、陽希!?」
「こいつら耕す。」
「ちょ、待てって、お前がドヤ顔すんの珍しいしなっ!」


キヨが言うと、振り上げていた鍬をそのまま止めた。


「………陽希?」
「…………………冗d」
「には聞こえなかったよ!?しかもこれ翔弥の含めて3度目だからね?」
「…気をつける。」


鍬を片付けたところで練習再開。
教えてもらいつつ、曲に合わせてステップを踏んでいく。
身振り手振りも教えてもらったとおりに動いた。


「うしっ、今日はこれぐらいにすっか!」


時計を見れば、7時半。
まだ中学生である私たちは、部活で居残り練習していたとしても、下校しなくてはいけない時間。
帰宅準備をしに、ロッカールームに向かった。


「それにしても、珠李は上達早いね〜。」
「小さい頃から色々やっていたからね。基本的なことはすぐに出来た。」
「………………。」
「隼菜、どうしたの?」


隼菜は私を見て、ほっぺをつついた。


「な、なにするの、」
「珠李はまだ自分を出し切れてないね。」
「どういうこと?」
「何かあったら、ちゃんと私たちに相談すること!恥ずかしくても、楽しいと思ったことは、表に出すことだよ!」
「……とりあえず、わかった。明日から、そうしてみるね。」


準備を終えて、私は走って家に帰って行った。
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