5人目の農業少年
「ここいんだよね。」

学校の敷地範囲内にある畑に来た。なぜかというと、そこに昨日いなかった5人目がいるから。

というとで、3人が言ってたビニールハウスに入る。
そのとたん、外の冷たい空気とは一変して、暖かい空気が頬をなでた。


「誰だ?早く扉閉めてくれ。冷たい風が入っちまう。」


向こう側につなぎ姿の生徒がいた。
野菜を踏まないように歩き、その人の下にたどり着いた。


「えっと、君が・・・。」
「…地里陽希だ。」
「よろしく。私は、」
「聞いてる…天丼だろ?」
「天道だから!!」


なんかよくわからない会話から始まった。
ちなみにこれは数分前のこと・・・。


「もう一人?」
「ああ。そいつ昨日は授業以外ずっとビニールハウスにいるやつだからな。」
「なんで、」
「実家が農家なんだって。小さい頃からお手伝いしていたから今はこの学校びビールハウスを作って野菜を作っているんだよ。」


そして向かって今に至る。


「冗談・・・。」
「冗談には聞こえない。」
「・・・・・・。」


なんだこの間は。本当にこの場に居づらい。


「えーっと・・・。」
「ほんとだから。」
「無理に言わなくていいよ。で、私が天道珠李。よろしく。」


すると地里君は無言でキャベツの葉を私の口に入れた。


「むぐっ」
「俺の作ったキャベツ。」


何度か噛んでみて飲み込む。
普通に売っているようなキャベツとはちょっと違う感じの歯ごたえだった


「いつものよりなんかうまいね。」
「当たり前だ。俺が作ったんだからな。」
「一人で?」
「そうだが。ちなみに収穫はおまえにも手伝ってもらうぞ。」
「あっていきなり収穫の手伝いとは・・・。」
「そんなにすぐじゃねえよ。」


いつの間にか話にとけ込んでいた。
変わっているのは確かだけど。


「おう、邪魔するぜ〜。」
「翔弥、なんかようか。」
「いや、珠李がどうか見に来ただけ〜。」
「こいつか。おまえのように野菜が嫌いじゃないから安心した。」
「あん時はタマネギを丸で食わされたからな!!」
「タマネギは生でもおいしいんだよ。・・・で話は変わるが、こいつがQUPに入ったやつなんだな。」


うおぅ、いきなり切り替わりおった。
さっきより真剣な表情で地里君は橋下くんに聞いた。


「そうだ。お前の見た感じどうだ?」
「良いんじゃないか。隼から前の練習試合のDVD、借りて見たしな。」
「え、まだ俺みてねえよ。」
「地里くんは見たんだね。」
「陽希でいい。くんも付けるな。」
「え、でも…」
「珠李、俺達同学年だぜ?遠慮するなよ。」


地里くん……陽希は軽く笑って頷いた。


「えっと、隼菜ちゃんから借りたらどうかな?……翔弥。」
「OK。まあ、あとでそうすっかな。」
「そういえば時間はいいのか?もうすぐ部活始まるんじゃ、」
「今日は陽希を連れにきたんだよ。監督がいい加減練習に来いってさ。」
「…………………………ちっ。」


私には聞こえたけど翔弥に聞こえないように舌打ちした陽希は、ビニールハウスの出口に向かった。


「さっきの呼び方、隼やキヨにも言ってやれよ。あいつら、ちょっと気にしてたみたいだから。」
「うん、わかった。私たちも行こっか。」
「そうだな。」


とりあえず私はQUPの全員と会った。
個性豊か、仲は………ものすごく良さそう。
私も早く馴染めるように、頑張ってみようかな。
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