憩いの場
「はあ、はあ・・・。思ってた以上にきつい・・・。」
「天道さん、あともう一回だからがんばって。」
「うん・・・。」


練習が始まって1日目。早くも私は早くも苦戦していた。
それによくよく思ってみれば、身長が一番低いことにも気づいた。


「珠李!ラスト一本!!」


パスが渡り、レイアップでシュートを決める。
リングに当たったけど、何とか入った。


「おつかれ珠李。」
「うん、横山さんもお疲れ。」
「隼菜でいいよ。それで、どう?やってみて。」
「思ってた以上にきついね。・・・お兄ちゃんもこういうのをやってたのかな。」


つぶやいたことに気づいた横山さんは詰め寄ってきた。


「お兄さんいるの?いくつ!?」
「え、えと。たしか今年で24だよ。お兄ちゃんも中学の時バスケ部だったらしいから。」
「そうなんだ。でもやっぱり、初めて練習やったとはいえ、結構できてるよ。」


そう言われてほっとしたけど、なんか安心できなかった。


「おーい、転校生のやついるか?」


入り口の方で声がしてみてみると、男子バスケ部らしき人がいた。


「私のこと・・・ですか?」
「おう、俺は橋下翔弥だ。隼!こいつ借りてくぜ!!」
「はいよ−。」


橋下くんに連れて行かれたのは中庭。小さなステージらしきのものあり、その後ろには段幕があった。


「えっと、これは?」
「俺のダンスチームの段幕。この学校はダンスが盛んなんだ。」
「ダンス・・・ってことは私も!?」
「ああ、いずれかどっかのチームに入らないといけないんだよ。」


少し考え込む。要するにこの学校にはダンスチームがあり、私もどこかのチームに入らなければいけないということになる。


「でもなんでチームなの?無理にやる必要あるのかな?」
「半年に一度、生徒全員参加のダンス大会がある。うちの学校では大イベントだから盛り
上がるんだよ。それに学年やダンス経歴なんて関係ない。楽しんだもんがちの大会なんだ。」
「言いたいことはわかったけど、なんで今?」
「・・・・・・何となく。まあとりあえず、俺のダンスを見上がれ!!」


橋下君はステージの上で踊りだす。リズミカルなステップと動き。さらには、私にはできないようなポージングをとったり、誰もが憧れるようなブレイクダンスも披露していた。


「ふん、どうだ!」
「……すごいしか答えが出ないよ…。」
「さてと、気分転換もできたことだし、体育館に戻るぞ。」
「え、」
「お前にはこの学校のことを知ってもらってほしいのがまず最初の理由。もう一つは、落ち着いてほしかったことなんだよ。」
「落ち着くって、」
「お前、練習初めてだって言ってたよな。それでだよ。」


思ってみればそうだ。
練習後の息苦しかった感じもなくなり、落ち着いている。
橋下君はそれが狙いでここに連れてきたということなのが分かった。


「それとなこの中庭、心を落ち着けるには絶好の場なんだ。悩みや不安もここで和らぐとかないとか。そういう噂があるんだ。」
「確かにそうだね。ここにいれば安らぐ感じがする。」
「うし、戻るか!!」
「うん!!」


橋下君が走っていくと彼について行った。
体育館について彼は


「名前なんだっけ?わり、聞いてなかった。」
「天道珠李です!!」
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