自分の事情
「え!?」
「確かに帝光の時はおとなしかったけどさ、その…ほら、一群にいるみんなって言うか、レギュラーのみんなは雰囲気がすごかったから、私は一歩引いた方がいいと思ってあの性格だったんだよ。」


すると、体育館では練習が再開してようでボールのドリブル音が聞こえてきた。


「そうっだったんスか…そのことはほかのみんなは、」
「黒子君と赤司君以外は知らないよ。ま、それとこれとは別で、久しぶりに会えてうれしかったにゃ。」
「というか、なんで珠李っちは猫みたいなしゃべり方なんスか?」
「昔からの癖でね、テンション上がるとつい「にゃ」ってつけちゃうんだ。今はなるべく控えてるようにしてるけどさ。」


少し他愛のない話をしていたが、しばらくして黄瀬君の携帯が鳴った。


「電話出ていいよ。」
「あ…、はいっス…。」
「どうしたの?」
「いや…あはは、……俺ッス。」


黄瀬君が電話に出た瞬間、『早く戻って来い!シバくぞ!!』と私でも聞こえるぐらいの声が聞こえた。
どうやら海常の先輩らしく、少し文句も混ざりながら話して電話を切った。


「もう帰ったほうがいいんじゃない?」
「珠李っちまで!?」
「もう少し話していたいのは山々だけど、今度練習試合があるから今練習しているんだよ。少なくともこっちはね。」
「…やっぱり俺の知ってる珠李っちじゃないんスね。」
「でも、あの時いたのは私なんだよ。」


その言葉を残し、黄瀬君は去って行った。


「これは…勝たなきゃいけないよね。それとこんな平日にどうやって来たんだろう…。」
「珠李、もうそろそろ中に入って。」
「悠雅…わかった。」


体育館の中に入って、今は自分のやることを専念した。


「(さっきのことは気にしてないみたいで良かった…。気にしていることとしたら、大我との1on1しかなさそうだけど。)」


大我の様子をみると、一番熱心にというかガムシャラに練習をこなしているように見えた。


「無理しなきゃいいけど。」




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