再会………(?)
本入部届けも出し、練習も軌道に乗ってきた頃、カントクがスキップをしながら体育館にやってきた。
「《キセキの世代》のいるとこと試合、組んじゃった♪」
「いきなりスゴいですね……さてと、仕事仕事。」
その日の練習が終わり、片付けを済まして昇降口で大我を待っているとカントクが来た。
「カントク、お疲れ様です。」
「お疲れ様。誰か待ってるの?」
「大我…火神君を」
「あいつならもう帰ったわよ。」
「後でぶん殴ろう。………そういえば、練習試合ってどこの学校ですか?」
「海常高校…黄瀬涼太がいる学校よ。じゃあ私はこれで、お疲れ様。」
「お疲れ様です。」
そのとき私は、あの五人のうち最初に試合するなら黄瀬君だなと思っていた。
けど、心配なのは試合もそうだけど、他にもあった。
「帝光にいたときと性格違うからな〜、わかるかな…?」
「どうしたの?」
後ろから声がして振り返ると、悠雅が立っていた。
「ちょっとね、私ってさ転校前は帝光中だったでしょ?」
「うん、そうだね。」
「帝光中だとおとなしい系のキャラ作ってた訳なの。前髪だらんだったし、気づくかな〜って思って。」
「そうだね…僕の考えだと、多分大丈夫だと思うよ。 」
「そうかな?」
それから数日して、放課後の部活に行こうとすると、体育館の入口は女子生徒でいっぱいになっていた。ちょうどクラスメイトのこがいて話を聞くと、この体育館に黄瀬君がいるということを知った。
「と、とりあえず、通して。」
「珠李、こっちから入っていいよ。」
ステージのほうを見ると確かに黄瀬君がいた。
しばらくしてギャラリーがいなくなると、黄瀬君はステージから降りた。
「な、なんでここに」
「いやー次の相手誠凛って聞いて、黒子っちが入ったの思い出したんで挨拶しに来たんスよ。黒子っちとも仲良かったよね。」
「そうでしたっけ。」
このやりとりは似たようなことが中学でもあって、私は少し懐かしく感じた。
でもそんな時、大我が黄瀬君に向けてボールを投げた。
「ちょっ、なにやってんの!?」
大我は黄瀬君に1on1の勝負を申し込んだ。
断るかと思いきや、「いいもんを見せてくれたお礼。」と引き受けてくれた。
「今の黄瀬君の実力はわからない…。」
1on1の結果は、私にとっては一目瞭然だった。
大我が練習中にやった連携を黄瀬君はみんなの前でやって見せた。
「だろうと思った、大丈夫?」
「知ってたのかよ、」
「まあね。」
「だったら言えよ。」
「そんな暇なく1on1挑んだんじゃない。」
そんなやりの後、黄瀬君は黒子を海常バスケ部に入れようと交渉してきた。
「そう言ってもらえるのは光栄です。丁重にお断りします。」
「文脈おかしくねっスか!?」
黄瀬君はどうにか説得しつつも、黒子に拒否されている。
「黒子っちがそんな冗談言うなんて、」
「ったくなんだよ…、オレのセリフとんな黒子。」
「冗談苦手なのは変わってません、本気です。」
反発して言おうとしたところ、このままではまずいと思い黄瀬君の肩を引っ張った。
「それ以上はやめなよ、」
「あんたには関係ないことっスよ。ていうか、ここのマネージャー?」
「……………あはは、」
そんなことを言われてしまい、ついに私はキレてつかんでいる手に思いっきり力を入れた。
「いだだだだ!っ何なんスか!?」
「お、おい、珠李やめろって。」
「えっ…?」
「半年だけど、同じバスケ部のマネージャーやってたんだから知らないはずないよね。それに結構会ってるし、ね〜黄瀬君!!」
笑顔でそう言いながらさらに力を入れる。
「い"だだだだだだ!!しゅ、珠李っちスよね!?」
「うん、そうだよ。」
ようやく思い出したようで掴んでいた手を離すと、大我はさすがにその事だけは同情したような表情だった。
「珠李っち、そんな性格だったっけ?」
「とりあえず学校から出ようや、話はそのあと聞いてやんよ。」
「なんか怖いっス…。」
練習の途中だったので、体育館から出て話をすることになった。
「まさか、珠李っちも誠凛に居たなんて驚きっスよ。前よりも性格も違うし、転校してイメチェンしたんスか?」
一言目がそれで、私はため息をついて言った。
「元からこの性格だよ。」
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