輝きのその下で

21話 (23/25)

しばらく休憩して泛塵が起きたのを確認する。
また疲れてた倒れるなんてことがないように、次からは俺もついていくことにした。
一通り回って厨に入ると、燭台切と竹俣、堀川が今日の夕餉を作っていた。


「あ、清光さん、それに姫鶴さんも。」
「やっほー、お疲れさま。きりがいいところでちょっとて止めてもらえる?」
「わかった。」


厨房にある椅子で待っていると、泛塵がコトコトと椅子を揺らしてそわそわしていた。
やっぱり泛塵も脇差で手伝いたいという気持ちはあるのが分かりやすかった。


「お待たせ。」
「ああ、新しい仲間ですね!」
「そ。じゃあ、自己紹介して、」
「脇差…泛塵……だよ。よろしく。」


しばらくして二振りが来ると、早速自己紹介をした。
脇差ということで、同じ脇差の堀川は嬉しそうに握手を交わしていた。
一方で燭台切さんは、珍しく泛塵をじっと見つめている。
どうやらそれに気づいたようで、堀川の後ろに隠れてしまう。


「ああ、ごめんね。君の紋がどうも気になっちゃって。」
「…燭台切さんを見たときすぐわかった。……伊達の刀だよね。そっか…そうだよね…。」
「どうゆうことですか?」
「さっきも私のことで気にしていたわね。燭台切さんの思ってる通り、泛塵君は真田にあった脇差。それも、ね?」
「あえて言わせるの、姫鶴さん…安直な策…真田…信繁さまが持っていた脇差だよ…。」


「やっぱり」というかのように、いきなり泛塵の両手を掴んだ。
顕現してからずっと半目気味だったのも流石にビックリして、ここにいる燭台切さん以外の全員が目を見開いている。


「へっ………。」
「一度でもいいから、真田家に縁のある刀に会いたかったんだ、お礼を言いたくてね!」
「………………………それ、こっちの台詞。お礼を言うのはこっち。その、あの………ありがとう、」


泛塵も少し強く手を握り返して微笑んでいる。
微笑んだその表情は顕現した今までで一番、安心しているように見えた。




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