輝きのその下で

20話 (22/25)

「あ、加州さんちょうどいいところに。」
「姫鶴さん、どうしたのって、後ろにいるのは?」
「加州清光さん…ですね。僕は泛塵と言います。この本丸のはずれに本体が落ちているところ、姫鶴さんに助けられて、主さんに顕現させていただきました。」


ぺこりと丁寧にお辞儀をする。そのまま私のお城に下がり、加州さんをじっと見ていた。
そのことを不思議に思ったようで、首をかしげている。
沈黙があまりにも続きすぎて加州さんが耳打ちで聞いてきた。


「なんか…しずかすぎない?」
「〈仕える〉と言う言葉を体現したかのようなお方ではありませんか。ここに来たばかりなので怯えているのかもしれません。」
「それもそっか。」


改めて泛塵を見ると不思議そうに私たちをじっと見つめている。
指示を待っているのか片膝をつこうとしていた。


「っ…なにかありますか?」
「ああ、ごめんなさいね、泛塵さんもしかして、怯えていたりしてない?」
「怯える…そうですね…予期しなかった顕現だったので、驚いてはいます。数日すれば、慣れてくると思う…います。」


無理に敬語を使おうとしているのか、視線を私や加州さんを交互に見ている。
無表情に見えるが不安そうな顔をしているのを察したのか、
加州さんが目線を合わせて話した。


「たしかにこの本丸には常に敬語のしゃべり方している刀剣男士いるけど、アンタそうじゃなかったら、無理に敬語使わなくていいんじゃない?」
「……いいの?」
「ええ、貴方の前の主が真田信繁様だからと言って、わたくしやほかの刀剣たちに《仕え》なくていいんですよ。」
「…姫鶴さんがそう言うなら……あ、加州さん、助言ありがとう…ね。」
「うん。っと、大丈夫!?」


いきなり倒れてきたもので加州さんが泛塵の身体を支える。
思えば顕現してからずっと移動したり立ちっぱなしでいたことを忘れていました。


「ちょっと…疲れた……。」


ちょうど話していた場所が開いている部屋であったため、泛塵さんを部屋にいれて休ませてあげることにした。
座ってしばらく、安心したのか目をしょぼしょぼとしている。


「眠いんですか?」
「眠い…わからないけど、休みたいな。」
「良いですよ、ゆっくり休んでください。」


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