輝きのその下で

18話 (20/25)


真剣での手合わせで負傷した姫鶴が今手入れ部屋にいると聞いて向かって行った。
手入れ部屋の近くにいたのは手合わせをしていたという和泉守と堀川、山姥切がいた。


「竹俣か。すまねえ、姫鶴の姐さんに傷を負わせちまった。」
「心配いらねえって!仮にも俺たちだって刀剣男士だ。怪我してなんぼってやつだろ。」
「あ、兼さん、竹俣さんに姫鶴さんのこと聞かないと。」
「ああそうだったな。」


堀川にそう言われた和泉守は顔を見合わせうなづき手入れ部屋の方を見ながら
俺に聞いてきた。
どうやら姫鶴の性格についてで、戦闘時半狂乱な性格を抑えるためにちゃんと戦えなかったことを
和泉守達は心配していたようだ。


「そうだな、まず姫鶴は上杉謙信公のもとにあった刀ってのはわかるだろ?」
「はい。たしか磨り上げられる晩に夢で磨り上げないでと言ったんですよね?」
「それはあいつの名前に
関する有名な逸話だな。で、姫鶴の性格についてだが、単純なことだ。
俺たちは刀だ。人を殺し、戦うための。だが姫鶴は一切戦うために使われなかった。夢にまで出て磨り上げないほうが自分は強い。そうお願いしたのに使われなかった。鶴と名乗る女性の姿で夢に出たせいか姫鶴って銘を付けられた。」
「使われたかったのに使われなかったってことか…。中には使われなかったっつー連中もいるが、姫鶴の姐さんはそれを根に持っていたんだな。」


すると襖が開く音がしてみてみるとそこには姫鶴が出てきていた。
傷のほうはもう大丈夫みたいで座りっ放しだったのか寝込みっぱなしだったのかはわからないが、伸びて深呼吸をする姿が見える。


「ご迷惑おかけしました。それと、聞こえてましたよ。」
「え。」
「使われる使われないの話しです!確かに気にはしてますけど、それをあなた方が話すことではありませんよ?だって、今使っていただけてるじゃないですか。まあ、無理やりこの本丸で顕現したのは私も反省ですけど。」


無理に顕現したことは反省してるみたいだが、どうやら過去についてはそう気にしていないようだった。
でも俺は今までの鍛錬でやってきたことが発揮できていないのかと思い、つい向きになって聞き返してしまう。


「んじゃさっきのようにしっかり戦えなかったのは、どういう事だよ。」
「そうですね……、今まで竹俣としか鍛錬してなかったせいでしょうか?今日初めて他の方々と手合わせしたものですから、どの力加減が皆さんに丁度いいか見ていたのですが、」
「過って深傷を負ってしまったという訳か。」


その通りだというように肩をすくめた姫鶴は、俺の近くによって頭を撫でられる。
子供をあやすように撫でられたせいか、3振りから見られていることに今更気付いた俺は、姫鶴が使っていた掛け布団を顔を隠すようにかぶった。


「見ないでくれ…。」
「マアソウイウトキモアリマスヨ。」
「ソウダソウダ、キニスルナ。」
「………。」
「棒読みで言わないでくれ!今の俺余計に恥ずかしい!!」


堀川と和泉守にからかわれ、山姥切はただ見ていることに俺は、
とんでもなく恥ずかしく思い、しばらくの間布団をかぶったままだった。


×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -