輝きのその下で

1話 (3/25)

光の先へ進んで行った私は、ようやく目が慣れて改めて目を開けてみるとそこは和室。
真新しい畳に、外は緑豊かな庭。


「ようこそいらっしゃいました。」
「あ、えっと・・・ってあれ?」


目の前にいたのは小さな狐。
どうやらこの狐さんがしゃべっているらしい。


「私はくだぎつねのこんのすけと申します。以後お見知りおきを。」
「は、はい。ここに呼ばれたのは良いんですけど、私はいったい何をすればいいんですか?」
「ご説明いたします。始まりは2205年、歴史修正主義者と呼ばれる者たちが過去の歴史を変えるため、過去への攻撃を始めましたのです。」


いきなり厨二病…というのはもう置いておくことにしよう。
言ってしまえば私もこの年になってスーパ―戦隊とかそういったものが好きなんだから。
こんのすけがいった重要ワードに改めて聞く。


「えーっと…歴史を変えるってことは…」
「はい、あなた様のいる現代にも影響がおよび、変えられた歴史から先が変わってしまいます。」
「そっか…ならやるって言ってよかったってことだよね。歴史を守るんだし。
で…とりあえずあの手紙にも書いてあったから聞くけど、私って霊力そんなにあるの?」


手紙にあった[霊力]。私が選ばれていいのだろうか、そういうのは2205年の人たちに任せても、そういう点も含めこんのすけに質問した。
いくらなんでも質問攻め過ぎたか、「こちらに来てください」とだけ言った。
付いていった先の部屋には、炉と台、金槌といった道具がそろっていてそのそばには小さな妖精のような子がいる。


「それではあなた様にはこの五振の中から一振選んでください。」
「えっと…刀…?」


目の前に出された五つの刀を見てびっくりする私。
刀に触れると空間ディスプレイが浮かび上がり、刀の名前が表示された。


「うわ、たくさんある・・・[加州清光]、[歌仙兼定]、[山姥切国広]、[蜂須賀虎徹]、[陸奥守吉行]…か、んーっととりあえず刀の見た目かっこいいから、この[加州清光]っていう刀にします。」
「わかりました。それでは、お願いします。」


妖精の子が頷くと選んだ刀[加州清光]が輝きだす。
目がくらんで目を瞬間的に閉じてしまったが、その輝きはすぐに消えた。
そして私の目の前にいたのは、黒い髪と赤い目の男性だった。


「あー。川の下の子です。加州清光。扱いづらいけど、性能はいい感じってね。君が俺の主?可愛がってよね。」
「え…う、うん!」
「彼は[刀剣男士]と呼ばれる先ほどの刀から人の形へと顕現された付喪神です。先ほどあった4振もいずれあなた様の下に現れますのでご安心を。」


加州清光のほうを向くとやさしく微笑んでくれる。
するとこんのすけが私に向かって言う。


「それでは早速ではございますが、最初の合戦場の時代へと向かいましょう。」
「あ、そっか、歴史…守らなきゃね。」
「本来であればあなた様が行き先を選びますが、何せ最初なのでこちらから選ばせていただきます。」


外に出て門の前に行くとディスプレイが出てくる。それから表示されたのは函館。
すると加州が私に向かって言った。


「じゃ、出陣してくるね。」
「わ、わたしも!」
「だーめ、主はここで待ってて。過去に行くのは、俺たちだけだから。そうでしょ?」
「左様です。合戦場の様子はこちらからでも拝見できますので、ご安心を。」


一振りと一匹に説得されるが、その瞬間加州の鋭い視線で戦への恐怖を感じた。
戦とは無縁の現代の私だ。多少剣術をかじった程度では加州の足手まといになってしまう。
そんなことを考えているうちに、門の扉が開いた。


「おっし、出陣だー!」
「っ、い、いってらっしゃい!」
「いってきます!」




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