輝きのその下で

23話 (25/25)

ついに主のことで心配していたことが現実になってしまった…。

主は無類の英雄(ヒーロー)ものが好きだ。
たとえば、5人で力を合わせて敵を倒す物語や、
必殺技の蹴りで敵を倒すもの。
巨人になって怪獣を倒すもの。
特に蹴りを使う英雄ものは時を超えるものがあり、時を超える方法がなんと電車って言う乗り物に乗って移動するんだとか。

話を見せてもらったけど、なんとなく親近感がわく。


ああ、俺の話しはいいんだよ。

現実になったのは突然大きな揺れが本丸を襲った時だった。
遠くでガシャンって音がして扉を開いてみるとそこにあったのは狭い道だった。


「ねえ清光、」
「安定、大丈夫なわけ?」
「揺れに関しては1度だけだったみたいだから大丈夫。それよりもこっちきて!」


安定に手を引っ張られてついた先は俺達の名前の札がある扉の前だった。


「ここ……」
「まあどう見ても俺達の部屋だろうね。」
「他にも2〜4振りごとで部屋が割り振られてるみたいだよ。」
「俺達の名札しかないから2振り専用部屋って事なんだろ。それよりも、後ろ見た?」


「後ろ?」と部屋の扉とは真向かいの方を見る。
移動してて気づいたけど、この本丸は、移動している。それもかなりの速さで。


「わあ!なにこれ、すっごい!」
「この速さとコトコトって廊下がなってるのは多分電車って言う乗り物だね。」
「でんしゃ?」
「電気の電に車で電車。多くの人を乗せて線路の上を走る乗り物なんだって。」


それよりも主のことが心配になり、狭い道をまっすぐ進み何度も扉を開けた先に主の部屋があった。


「主!」
「ん、どうしたの清光。」
「今本丸がどうなってるかわかってるの!?」
「ああ、びっくりさせちゃったみたいだね。急に本丸の改造が入ったものだから連絡が入っちゃって、ごめんね。」
「改造が入るのはいいけど、なにあれ!!」
「あれとは?」
「電車だよ!」


ああ、と気づいたかのように部屋の窓を見ると綺麗な青空が見える。
机の引き出しを開けて資料を手渡された。


「電車…?しかも空飛んでるって。」
「清光は私が架空の英雄ものがすきって知ってるよね。それで本丸も長いことそのままだし、私らしい本丸にしようかなって。で、思いついたのが空を飛ぶ電車なわけだ。」
「てことは時代の行先はチケットが必要になるんだよね。」
「お、察しがいいね。その通りで。時間を超えるときは本丸ごと移動してそのまま降ろすって形になるよ。電車だし問題なし!」
「目立つよ。」


大きさは見てないけど電車もない時代に目立つし大きなものがいきなり現れたとなったら大問題に決まってる。
心配そうな顔が分かったのか、なぜか得意げな表情をしてもう一つ資料を差し出した。
同じ電車の資料だが、こっちは5人組のもの。
それをもとにしているらしくて、この本丸にかかわるもの以外は見えない仕組みらしい。


「…どれだけご都合主義なんだ、俺たちの主は。」
「ご都合主義と言うか、私の特撮の要素と言うか、そういうのを詰め込んだらそうなったの!あ!主、嬉しいからって俺を置いてかないで!一緒に行くから!!」


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