輝きのその下で

10話 (12/25)


時間は過ぎて宴の席となり、特にお酒好きはもう始まる前から酔いに酔っていた。
私はいまだ未成年であるため、お酒だけは控えていた。


「お酒飲めないって少し不憫かも……あれ、三日月さんがいない。」
「騒がしいのが苦手だって、外で飲んでくるらしいよ。」
「そっか…ちょっと探してくるから何かあったら何とかしてもらえるかな。」
「わかった。」


宴会場から出て淵をたどっていると、月明かりが明るく夜でもよく道が見えた。
しばらくあるいていると、三日月さんが晩酌をしている姿を見つけた。


「主か…宴のほうはいいのか?」
「それは三日月さんのほうじゃないかと………いや、私宴会は少し苦手なんです。」
「…主、酒は飲めるか?」


杯を渡されて酒を注がれる。月光で三日月さんの微笑みが怪しく見えた。


「ひ、一口…いただきます。」
「どうだ?」
「そう…ですね。私のいた時代だと私の年齢はお酒飲んじゃいけないっていう決まりがあったから飲んだことなかったんですけど。一言でいうと苦いです。」
「っははは。」


一口飲んだだけでも苦いと思っていた最中、私は三日月さんと普通に話していることに気付いた。


「どうかしたか。」
「…えっと、こんな時に言うのもあれですけど…三日月さん、私と手合わせしてください。」
「……それは主命か。」
「はい。私があなたに信用されてないのは、鍛刀したとき私が怖気づいていたから。
私もあなたたちの主として強くあることを示さなきゃいけない…そんな気がするから。」


改めて向き直り姿勢を正して言う。
天下五剣に敵わないとわかっていたとしても、意思だけでも強くありたいとそう思っていたからだ。


「わかった。其方の命を受けよう。」


二人だけで道場に向かい、練習用の木刀を持った。
でも、そんなとき。


「主様、それに三日月さんもこんなことろで何をしようとしているんですか?」
「物吉君、」
「ちょうどよかった。この手合わせ物吉が合図を送ってくれぬか?」
「理由はわかりませんが、一本勝負でいいんですね。」
「ああ。」
「うん。」


木刀を構えなおし、物吉君の「はじめっ!」と言った瞬間に私は駆け出した。


「はあっ!」
「っははは、剣線に迷いは無いといったところか。」
「笑ってる場合じゃないようにしちゃいますよ!」


木刀がぶつかり、鍔迫り合いになる。
やはり男性と女性の力量じゃ私が負けてしまうのは当たり前で、
横に流して距離を置くことにした。


「加州から聞いたが、日ごろ手合わせに参加しているようだな。」
「し、知ってたんですか!?」
「油断はするでないぞ。」
「ぐっ、」


加州君話してたのかよと心の中で愚痴ってる間に、
舞うような動きで私の持っていた木刀を弾き飛ばし切っ先を差し向けられた。


「そこまで!」
「油断大敵とはこのことだな。」
「返す言葉もないね、参りました。」


力が抜けて体制が崩れてしまいそうになったところ、
三日月さんに支えられていた。


「お二人とも、手ぬぐいをどうぞ。」
「ありがと、物吉くん。」
「すまんな。」


もらった手ぬぐいで汗を拭き、入れてもらったお茶を飲んで一息ついた。
三日月さんは最初にあったときなぜあんなことをしたのだろうと聞こうとしたけど、
道場にやってきた鶴丸に鍛刀部屋へ連れていかれ鍛刀をした。

そして驚くことに昨日の夜と同じように4:00:00が表示され、例の如く手伝い札を投げ込みやってきたのは小狐丸であまりのことに気絶してしまった私であった。



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