ぽかぽか陽気に包まれて。
起きなきゃなあって思うのに体は動かなくて。指を動かすのすら億劫で。もうこのまま寝ちゃおう、そう思うのにそう時間はかからなかった。
「先輩、」
頭の上から声が降ってきた、私を呼ぶ声。何よ、ずっと本読んでたくせに。別に拗ねてなんかないんだから。と心の中で意見するものの声を出すのすら、名前には面倒になっていた。
「名前先輩」
再び聞こえた声に、仕方なく顔を向ける。恐らく私の顔は不機嫌そのものだろう。眉がよっているのを感じながらレギュへと視線を投げる。今私は眠い、しかもものすごく。なのに邪魔された、多少腹は立つ。それだけか、と言われればそれだけではない。こうやって寝始めたのは、もともとふて寝だったのだから。
「名前先輩、眉寄ってますよ」
「知らない。元からこんな顔だったから」
そう素っ気なく言い返すと、レギュは困ったような眉を下げて苦笑した。
「拗ねてるんですか?」
「拗ねてなんかない」
「拗ねてますよね、」
「拗ねてないもん」
名前は体を起こした。
口振りからして拗ねていることに名前は気づかない。
名前は唇を尖らせている。見るからに拗ねている。
「…名前先輩、すみませんでした。もう名前先輩のことを放って本なんか読みませんから」
「………本当?」
「はい、僕が名前先輩に嘘をついた事がありましたか?」
「ない、けど」
だったら僕を信じて下さい。そう言って抱きついてきたレギュに私は愛しさを感じた。
日だまりに包まれて
(ぎゅ、と私が抱きしめ返すと)
(より強く抱きしめられた)