おうちにようじょがやってきた29


「シェリアちゃーんめっちゃかわええ〜ホンマかわええ〜」

「エリー!くるしいデスよ!」

「いやーん…髪の毛さらっさらで,ほっぺもぷにぷに!」

「エリー!」

「はっアカン!ごめんな,シェリアちゃん」


今日は三つ子にシェリアちゃんをお借りして,女子だけで遊ぶんや!

メンバーは,うちとシェリアちゃんと玲華ちゃん!

玲華ちゃんは途中合流やねんけど.


「エリー,どこいくデスか?」

「せやなぁ,玲華ちゃんと公園で待ち合わせしてんねん.せやからそこで待っとこ」

「はーい」

「玲華ちゃんとは,初対面になるけど…大丈夫?」

「…エリーのおともだちデスよね?」

「せやで」

「だったら,たぶんノープロブレム」

「玲華ちゃんめっちゃええ子やから,安心しい」


シェリアちゃんと手ぇ繋いで,公園に向かう.

ザック連れてくれば良かったなぁ.

そしたらサッカーくらい出来たんとちゃう?

あ,シェリアちゃんサッカーやらへんのんかな.


「シェリアちゃんは,サッカーせぇへんの?」

「シナイ」

「降矢くんら,めっちゃ上手いのにな…一緒にやったら楽しいと思うで」

「ううん,ワタシしないデス.みてる,エールおくるのがいい」

「そらこんな可愛い子に応援されたらやってるこっちは有頂天になってしまうな」

「うちょ…て?」

「有頂天っちゅーのは,舞い上がるようなことかなぁ…まぁ言葉の綾やから気にせんでええよ」


賢い子やねんな,シェリアちゃんは.

ちゃんと自分の意見が言えるし,言葉も割りとハッキリしてる.

うち,自分がこんな幼い頃にこんなしっかりした子やったかなぁ.

ぼんやりベンチでお喋りしっとたら,玲華ちゃんが来た!



「遅くなってごめんね,エリカちゃん〜!」

「いやいや,大丈夫!」

「あ,そっちの子が降矢くんたちの妹さん…かな?」

「せやねん!めっちゃ可愛いやろ〜」

「は,はじめまして,ふるやシェリアデス」

「あ!私は西園寺玲華っていうの.よろしくね」

「堅苦しい挨拶は抜きにして,今日は買い物の約束やったよね」

「うん」

「ショッピング?なにを,かうデスか?」

「うち,髪に付けるアクセサリーが欲しいんやけど」

「じゃあ,いろいろお店を回ってみましょう」

「「はーい」」


シェリアちゃんを挟んで,うちと玲華ちゃんが横を歩く.

玲華ちゃんとシェリアちゃん,案外早く打ち解けたみたいや.

見てるこっちが,マイナスイオンを感じるわ.





「あ!これ可愛い!これにしようかな」

「こっちも綺麗だよ?」

「…」

「それもええんとちゃう?」

「でもこれも捨てがたいなぁ」

「…」

「うーん,これはナイやろ」

「そうだね.ちょっと違う感じがするね」

「…おねえちゃんたち」


盛り上がってついつい,喋ってばっかりやった.

シェリアちゃん,退屈なんかな.


「どないした?」

「あの…トイレ…」

「なら私が案内するわ.エリカちゃんは,もっとゆっくり見てていいよ」

「ホンマ?ならその間に決めとくわ」


玲華ちゃんが,シェリアちゃんを案内してあげてくれるみたいなので助かった.

いや,うちの買い物やから待たせるのも悪いと思っててん.

今の内にいるもん買っとこ.



20分くらいしたら,二人が帰ってきた!


「お手洗いが混んでて遅くなっちゃった」

「そっか!先に清算済ませたから,次行こか」

「うん」

「はーい」


その後は,くるっといろんなところを見て回って.

玲華ちゃんはめっちゃ可愛い靴下を買っとった.

んで,昼食なうや.



「へぇ,凰壮くんってお菓子作り上手なんや…!」

「おーぞにいは,おうちのパティシエ!」

「意外だなぁ.虎太くんは?」

「こたにいは…おはな,じょーずにいけれるデス」

「虎太くんに花って似合わへんな!」

「でも,じょーず」

「じゃあ竜持くんは何してんの?」

「るーじにいは,おべんきょデス.ワタシのおべんきょ」

「あぁ,せやから口調が似てるんかな」

「確かに,竜持くんのみたいに言葉が綺麗よね」

「ありがとデス」

「降矢くんたちがこんなにアットホームな生活してるなんて知らなかったわ」

「もっとブルジョワなんかと思ってたわ」


盛り上がる話題は三つ子しかあらへん.

いやぁ…情報収集って大切やね.

勿論それだけやないよ?

メインはシェリアちゃんとの親睦!


「エリー,おみずほしいデス」

「はい」

「それ,なあに?」

「何が?」

「エリーって」

「あぁ,これシェリアちゃんが呼びやすいようにそう呼んでんねん」

「まるで外国人みたい」

「せやろ?でも結構気に入ってんねん」

「あの…私も…シェリアちゃんに呼ばれてみたい」


そういえば,今日シェリアちゃんは玲華ちゃんを一度も呼んでない.

意思の疎通は出来てるけど,シェリアの呼び方決まってないからやろか.


「シェリアちゃん,玲華ちゃんにもあだ名つけたって」

「えーっと…えっと…レイカ…レイカ…」

「切るところが難しいでしょう…無理に考えなくてもいいのよ」

「レーカでも…いい?はつおん,いのおとがむずかしい」

「勿論,大丈夫!」

「レーカ,エリー,そしてワタシたちは,フレンズ?」

「せやな!友達や!」

「うれしい,おねえちゃんたち,おにいちゃんとちがってたのしいデス」

「そう言ってもらえると,嬉しいな」

「なんでめっちゃ可愛いこと言うん!なんでうちの妹やないねん!!」


くうぅぅうううう!!!

ホントうちの妹やったらええのにな!

シェリアちゃんの笑顔に癒されてる三つ子が羨ましい.

でも,ホンマシェリアちゃん来てから三つ子変わったと思う.



「ごちそさま,でした」

「えらいえらい」

「これで手を拭くといいわ」



丸くなったし,何よりも感情をやたら出すようになっててん.

シェリアちゃんのこと話す三つ子のあの優しそうな顔見てたら,どこが悪魔なんかわからへんわ.

むしろ陰口叩いてる奴らのがよっぽどワルやで.

竜持くんに至っては,シェリアちゃんのこと話し出せばたまに怖いくらいや.



「もう少しぷらぷらして,帰ろうか」

「そうね,遅くなる前にシェリアちゃんを送っていきましょう」

「んー…シェリアちゃん何か欲しいもんある?」

「えっと…えっと…」

「うちらの買い物ばっかやったし,午後からはシェリアちゃんに付き合うで!」


うーんと言うシェリアちゃんは,物欲があんまないんやろな.


「エリー,レーカ,ほしいものあった!」

「何が欲しいん?」

「リボン!」

「リボン?」

「Yes!」


シェリアちゃんが欲しいと言うたんは,リボン.

何に使うんやろなぁ.

それ以上は聞いても教えてもらえんかった.

買い物して,お目当ての物を手に入れた後は帰宅!

今日一日,めっちゃ楽しかったなぁ….






―おねえちゃんといっしょ―






「ただいまデス」

「おかえりー」

「楽しかったか?」

「何を買ったんです?」

「おにいちゃんと,いっしょのリボン!」

「「「!」」」


幼女の手にあるのは,3つのリボン.

黄,緑,赤の三色.


「毎日かみのけ,きゅってしてもらうデス」

「じゃあ僕が!」

「俺がやってやるよ!」

「俺に任せろ!」


ぎゅううううっと幼女を抱き閉める三つ子.

しかし,幼女は言う.


「じぶんでやるデス.おにいちゃんたち,あっちいって!」

「「「!」」」

「じゃまするの,めっデス!おこるデス」


嬉しくもあり寂しくもある三つ子は,反論出来ない.

なぜなら,この可愛い妹が大好きだから.





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