おうちにようじょがやってきた28


シェリアさんが帰ってきて,次の日.

僕達は庭に居ました.



「はーい,じゃあ撮りますよー」



シェリアさんに”家族写真が欲しい”,そう言われたのです.

それは良いということで,日のある日中に撮ろうということになりました.

いつもの格好でいいかと思ったんですが,皆思いのほか本格的になっています.

…とりあえず,凰壮くんの格好は全体的に変です.



「凰壮,やっぱそれはないと思う」

「僕もです」

「…そうか?」

「おーぞにい,そのふくはやデス」

「シェリアまで!」

「というわけで,5分以内に着替えてきてくださいね.それ以上は待ちませんので」

「シェリアと俺と竜持のスリーショットになるぞ」

「お前ら鬼かよ!」


ダッシュで部屋に戻る凰壮くんはこの際置いておきましょう.

気合の入り様が皆違うのです.

虎太くんは,あの髪型なんですけど…朝2時間掛けてセットしたんですよ.

ワックスとスプレーでガッチガチに固めてあります.

どんなに突然の強風も怖くありませんね.


「こたにいのヘアー,チクチク」

「ハードワックスで固めたからな」

「あっ」


シェリアさんが触っていたら,ボキっと折れてしまいました.

見るも無残なトンガリが出来上がってしまい,なんだか可哀想です.


「うおおおおっ!?」

「へんなヘアーになったデス!」

「何やってんだシェリア!ちょっと直してくる!!!」

「…シェリアさん,もう触っちゃ駄目ですよ?」

「はぁい…」


洗面台に向かう虎太くんの必死の形相でした.

あの虎太くんがうおおおと叫ぶなんてサッカー以外にもあるんですね.

あ,ちなみに僕のストレートヘアーはアイロンでバッチリにしてあるので大丈夫です.


「このままじゃツーショットですね」

「さみしいデスねー」

「せっかくだから,一枚撮っておきましょう」


これは運の良さとも言えますよね.

二人が居ないので,こっそりシェリアさんとのツーショットを押さえておきました.

後で3枚くらい現像して,至るところに飾ります.



「…おい,竜持!」

「なんですか,騒々しいですね」

「お前,よく見たらそれ俺の靴!」

「あ,あぁ…今日のこの服にはこの靴が合いそうだったんです」

「返せよ,色違いあるだろーが」

「赤の気分なんですよ,今日は」

「俺は緑の気分じゃないんだ」

「…Oh」


靴の取り合いになってしまいましたが,なんとか奪取しました.

まぁ…結果的に言えば,凰壮くんにもシェリアさんとのツーショットを撮らせて納得してもらったわけですが.

ッチ,僕だけじゃないのはちょっと不満です.

シェリアさんがいるから言いませんけどね.



「よし,準備いいぞ」



虎太くんも戻ってきて,やっと撮影できそうです.

シェリアさんを真ん中にして,後ろに僕達が並んで入ります.

お父さんがシャッター係.

撮影に関しては上手ですからね,きっと出来は良いはず.



「いいですね〜」



何枚か撮って,無事に終了.

明日学校で自慢してやりましょう,エリカさんに.

僕は知ってるんですよ,エリカさんの待ち受けがシェリアさんになっていることを.

凰壮くんが送った写真をそのまま待ち受けにしたみたいですけど.



「また来年も撮ろうぜ.今度はさ,入学記念で」

「いいな,俺達は制服で,シェリアはランドセルだな」

「学校に着て行く服は僕達が全てコーディネートしてあげますから,毎日可愛い格好で通えますよ」

「髪の毛も全部セットしてやるからな」

「なんならネイルもしてやるぜ」


致せり尽くせりですよ,僕達三人が揃えば.

それはもう可愛くて可愛くて誰もが振り返るような出来栄えになるでしょう.



「いいデス」

「「「えっ」」」

「じぶんでやるデス.おにいちゃんは,みててクダサイ」

「そ,そんな!」

「こ,これが兄離れ!?」

「…くっ,何故だ?!何がいけなかったんだ!?」





―妹は,一番幼いお姉ちゃん―





「写真できましたよ」

「お,すっげーよく撮れてる」

「シェリアさん可愛いですねぇ.写真写り完璧ですよ」


全部現像してくれた写真は,アルバムと個人に分けられました.

そして,ここでひとつ重大な事実が明るみになってしまいました.


「なんだこれ」

「あっ,それは」

「…竜持と,凰壮はシェリアと二人だけで写ってたんだな」

「「…」」

「へー…そうか,俺だけ仲間外れか」

「違うんですよ!そういうわけじゃ…」

「そ,そうだぜ?たまたま虎太がいなかったから…」


シェリアさん,今からでもいいので虎太くんと二人で写真撮ってあげてください!!

虎太くんが拗ねて部屋に篭城してしまったのでした.



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