おうちにようじょがやってきた18


今日は,ついにエリカさんにシェリアさんを会わせる日です.

先日,凰壮くんと虎太くんが話をしてくれたので,早速実行することになりました.

シェリアさんは,少々渋っていましたが,僕達の友達だと説得すれば頷いてくれました.



練習が終わって,一旦解散し,またうちに集合という形でエリカさんを迎えました.


「お邪魔します〜!シェリアちゃんは?」

「部屋で虎太くんが見てますよ」

「へぇ…ホント意外やな.自分に似合わへん」

「はいはい,どうぞお好きに仰ってください」

「なんや,言い返さへんの?」

「今日はエリカさんがゲストですからね.…ここで喧嘩するのもどうかと思いまして」

「下手に出てくる竜持くんとか気色悪…」

「はいはい」


ここは平常心です,だってシェリアさんの為ですからね.

階段を上がって,部屋の前でノックをしました.


「…ドラゴン?」

「はい.エリカさんがいらっしゃったので,開けますね」


シェリアさんに呼ばれて,僕は部屋の扉を開けました.




部屋に通せば,シェリアさんが虎太くんの後ろに隠れて座っていました.


「…シェリア」

「は,ハジメマシテデス…」

「はうぁっ…なんなんこのめっちゃ可愛い生き物…やばい…破壊力ヤバイ…」

「エリカさん,第一印象からめっちゃ不審がられてますから!ちゃんと挨拶してください」

「あ,ごめん.初めまして,シェリアちゃん.うちは高遠エリカ.よろしゅう」

「よろしくデス…」


シェリアさんは,虎太くんの後ろから様子を伺う様にこっちを見ています.

可愛いです…可愛くてたまらないんですけど,今日は我慢します!!

とりあえずエリカさんを座らせて,簡単に紹介しておこうと思います.

警戒を解くことが最優先ですしね!


「彼女は,僕達と同じチームでサッカーをやってるんですよ」

「凰壮と同じポジションなんだぞ」

「…バードと?」

「そうですよ.足がとっても早いんです」

「あ,そうや,シェリアちゃん!お菓子好き?クッキー持ってきたんや,食べへん?」

「いいの…?」

「勿論!うちのお気に入りの店やから,めっちゃ美味いで〜」

「…あ,アリガトゴザイマス」


お菓子には弱いのか,ちょこんと出てきてクッキーを受け取るとまた虎太くんの後ろに行ってしまいました.

ちゃんとお礼を言う辺りは,しっかりしてますよ.

そこまで敵視はしてないみたいです.


「可愛いなぁ…まだまだあるから,ゆっくり食べや」

「シェリアさん,僕達少し席を外すので,このお姉さんとお話してみません?」

「タイガーも?ワタシだけ?」

「あぁ.でも,隣の部屋にいるから何かあったらすぐ来る」

「僕は一旦飲み物を淹れてまた持ってきますから」

「…ちょっと,いきなりすぎて困ってるやん.もうちょっと場を取り持ちいや」

「正直,この状況で不可能なことを言わないでください.頼れるのはエリカさんだけです,頑張って」

「いやいや,ちょお待ってや!」

「じゃあな」

「失礼します」

「アンタら鬼か!!」


僕達はひとまず退散することにしました.

あの3人で話しても,話題なんてないですし,シェリアさんが会話に入ってこれないでしょうから.

荒療治もとい,丸投げでしたね.





「…えっと,シェリアちゃん,大丈夫?」

「ハイ」

「無理やったら,遠慮せんと言いや?隣に虎太くん居るって言ってたし」

「アリガトゴザイマス…えっと…」

「そんな堅くならんでええよ!うちが押しかけたようなもんやねん,自分ちなんやし,もっと楽に…な?」

「…ヤネン?」

「あ,もしかして関西弁伝わらへん?」

「かんさいべん?」

「方言っちゅーか…うちの育ったところの喋り方が,ここらへんとはちょっと違うねん.…説明がむずかしいわぁ…」

「たんご,わかるデス.でも,たまにきこえない」

「早口になってしもてたら無意識やねん…ごめんな,ちょいちょい気を付けるから,我慢したってな」

「ワカリマシタ」

「シェリアちゃんは,お兄ちゃんたちと仲良しなん?」

「ハイ」

「さっきな,思ってんやけど,お兄ちゃんのこと違う名前で呼んでたやん?あれって,シェリアちゃんが付けたん?」

「おうちにきたときに,おにいちゃんたちとなかよくなるほうほう,ぱぱにおしえてもらいマシタ.ニックネームデス」

「へぇ…うちにも教えてくれる?」

「えっと,えっと…」

「虎太くんは?」

「タイガー!」

「名前の虎から来てるんやね!じゃあ竜持くんは?」

「ドラゴン!」

「かっこいい名前付けたったんやな!凰壮くんは…?」

「バード!」

「えっ?」

「バード,デス」

「バード…バードか…えっと,他の二人は普通なのになんで凰壮くんだけちょっと違うん?」

「オウゾーのかんじ,ワタシ…わからなかったデス.ドラゴンにきいて,とりといわれたから…バードなりマシタ」

「へぇ…よう考えて付けたなぁ.ちっちゃいのにかしこいんやね,シェリアちゃん.あ,せやったらさ」

「セヤッタラ?」

「うーんと,それだったら?みたいな…?うちの名前も付けてくれへんかなぁ」

「おねえちゃんのニックネーム?」

「そうそう,せっかくやから.うち,エリカっていうんやけど…あ,でも漢字じゃないねん.文字じゃ説明できへんから,無理かな?」

「…エリカ…えり……エリー?」

「お?」

「エリー…はだめ?」

「めっちゃ可愛いや〜ん!!そう呼んでくれるん?」

「おねえちゃんは,エリーでイイデスカ?」

「勿論!今度から,そう呼んだってな!」

「That's rigth!」

「いやーんめっちゃかわいいいいい!!!いっそうちの妹になってやー!」





「ちょっと待ってください!!!」

「させねぇ!!!」

「うわああああ何やアンタら!」

「ちょっと,エリカさん…勝手にうちの妹に手を出さないでくださいませんか?」

「絶対…渡さない」

「何勘違いしてんねん!言葉のあややろ!…ていうか,どんだけ必死やねんな…」


聞えてきた会話の断片を誤って解釈してしまったようですね.

はは…紛らわしいことしないで下さいよ…もう.


「このシスコン共に任せとってホントに大丈夫なんか心配やわ」

「まだ僕は比較的良識を持ってますからご安心を」

「俺も,善処はしてる」

「ふーん」

「凰壮から,シェリアを守る義務があるからな」

「凰壮くん?どういうこと?」


虎太くんが言う事も一理ありますね.

前科一犯…どころじゃないですし.


「凰壮くんは,過去に(事故を含めて)シェリアさんを襲ってますから」

「完全にアウトだ…アイツ,ロリコンなんだ」

「な,なんやて!!!!!」

「バード,ろりこん?」

「あぁぁあ…シェリアちゃん!そんなことがあったなんて知らんかったわ!!!うっわ,凰壮くんめっちゃ最悪やん…」


エリカさんとシェリアさんはすっかり打ち解けたようなので,今日の対面は成功のようです.

だけど,これからはもっとお世話になるんでしょうね….






―我が家の薔薇につける棘を見つけた!―





「竜持,なんか最近高遠が俺に辛辣なんだけど」

「へーそうなんですかー」

「お前なんで怒ってるのか知らないか?」

「全く分かりませんね」

「竜持くん,ちょっとパス練習付き合ってやー!」

「すいません,僕まだアップ終わってないんですよ」

「なら俺が…」

「アンタは近寄らんといて!この変態!!」

「!?」


案外面白がってるのは,僕だけじゃないんですよ.

そもそもロリコンなんて言ったのは虎太くんです.

ここだけの話…三男が苛められる姿を見るのはなかなか爽快だとか,思ってませんよ.



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