虎太01


「無愛想」

「…別にどうでもいいだろ」

「つっけんどん」

「…喧嘩を売っているのか」

「生意気」

「…同い年だろ」

「クールだなぁ」


コイツはいつもこう,脈絡のない会話を振ってくる.

くだらない内容だったり,読めない会話も多い.


「なんでだろうね,虎太ってカッコイイよね」

「はぁ!?」

「え,なんでそんな驚くの」

「お前がいきなり変なこと言うからだろ」

「いつもじゃん」


自覚はあるらしい.

コイツは俺を一体どうしたいんだ.

不意にそう思った.


「虎太は,やっぱりカッコイイと思うんだ.二人よりも」

「さっきからなんなんだ,お前どっか悪いのか」


違う,本当はそういうんじゃないのは分かってる.

シェリアは本質的に,こういう性格だ.

嘘を言っていないのはわかってるが,内容が内容なだけにタチが悪い.





「お前は,可愛いよ」

「え?」

「…シェリアは,可愛い」

「…っ,卑怯じゃない?」

「お前が先に言い始めたんだろ」

「耳真っ赤なんだけど」

「顔真っ赤のやつに言われたくない」


俺も嘘は付けない.

可愛いと思うのも事実だ.

不意打ちには不意打ちを,のはずだったのに…言った後の恥ずかしさが尋常じゃない.


「…可愛いけど,可愛くない」

「それって矛盾してるんだけど」

「ただ,…そこが好きなんだよな」

「どういうこと?」

「こういうこと」


さっと襟を引っ張って,シェリアの顔に唇を寄せる.

赤くなった顔は,お互いに見えない.




恥ずかしそうに,こっちを覗うシェリアの様子に思わずにやける.


「あ,笑った」

「そりゃ笑うだろ,幸せなときくらいは」

「撤回するよ,虎太って可愛いんだね」


なんでそうなる.





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