おれのようじょがよめになりたいんだってさ:リクエスト:ニケ様


※ようじょ連載で,もしこんなエピソードがあったら…という設定です.
IFストーリーとしてお楽しみください.




結論から言えば,お兄ちゃんというのは決して楽な仕事じゃない.



俺は比較的,妹の面倒見が良い方だ.

お菓子作りなんて似合わないこともやってるし,さりげなく裁縫とかもな.

基本的に,家事全般も手伝うから一通りは出来る.



「おーぞ兄!おせんたくセーフ?」

「おー…今日降るって言ってたからな.さっき取り込んだぜ」

「さすがヨ!ママみたい!」

「褒めてるのか?」

「うん,私がおーぞ兄と兄弟じゃなかったら,ケッコンする!」

「お前それ昔,竜持に言ってなかったか?」

「言ったけど,リソーとゲンジツってちがうのよ.女はいろんな男をしってせーちょうしてくのよ…」

「ガキの癖に何言ってんだお前」



ま,マセてやがる….

結婚だの,男を知るだの…まだ小学生の癖に何言ってんだ.



「きめたー!私,凰壮兄とケッコンするよ!」

「へいへい,言ってろ言ってろ」



なんて,その時は軽く流したんだけど.

まぁ慕って貰えるのは,そりゃあもう嬉しいわな.

だけど俺,油断してたんだよ.

いたるところで,俺を褒めてケッコンケッコン言い出すとは思わなくって.



「このホットケーキおいしいの!おーぞ兄,ケッコンしよう!」

「おー…お前がホットケーキ焼けるようになってからな」

「すぐなるもん!」



こんな感じで,しょっちゅう言われるようになると,俺も不安になってくる.

他所の男にもすぐ結婚してなんて,そんなこと言ってるんじゃないかって.

世の中には,ドのつく変態もいるんだから,真に受けてもらっちゃ困るだろ.

ていうか,竜持とか青砥とか危ないよな.

アイツらはマジだもん.



「んで,まぁ…相談なんだけどよ.竜持,虎太にちょっと聞いて欲しいんだけど」

「なんですか,忙しいんですけど」

「手短にしろ」

「いや,最近シェリアがさ」

「シェリアさんがどうしたっていうんですか!?なんです!?」

「すげーマセてるっていうかよ,軽々しく結婚結婚って言いすぎじゃね?って思ったんだが」

「言ってたか?そんなこと」

「…いいえ,知りませんけど」

「はァ!?お前らにも言ってるんじゃないのか?」

「お前らに”も”ってなんです?どういう意味です?3文字以内で答えて下さい」

「無理だろ!?いや,そうじゃなくて…俺最近,シェリアに結婚しようって言われるんだけど…お前ら言われてねー…の?」

「「…」」



あ,ヤバイ.

これ地雷だったかもしんねぇ.



「ほお?シェリアさんがそんなことを凰壮くんに言ってるんですか?へぇ〜そうなんですかァ〜」

「俺は初耳だな.知らないな.言われた事ないな.結婚なんてことについて話したこともないな」

「…そ,そうか」

「でも凰壮は頻繁に言われてるんだな?そうなんだな?」

「いやまぁ…」

「へえええ自慢ですかぁ?いいですねぇ,慕われるお兄ちゃんは!すごいですねぇ!!」

「ちょ,ててて,いってぇよ!シャーシンで靴下の中刺すとか地味な攻撃ヤメロ!」



竜持が恐ろしく笑顔になって,攻撃してくる.

虎太は恐ろしい顔で俺を睨んでいる.

オワタ!と思ったところで,でも俺しか言われてないっていう優越感もあった.

うん,俺は悪くないよな?



「…じゃあ,青砥にも言ってるのか?」

「そ,そうだよ!俺だけじゃないかもしれない!」

「元々,幼いころのシェリアさんの旦那ポジションは僕だったのに…なんで凰壮くんが…」

「竜持女々しい!」

「うるさいですね!全部凰壮くんのせいですよ!」



竜持が憎憎しげな視線を俺に送っている!

呪い殺す気だ!



「おい青砥か」

「ちょ,虎太行動早ぇええええ!しかも電話越しいきなり失礼!」

「ちょっと聞きたい事がある」

「虎太くん,聞こえないのでスピーカーに切り替えてください」

「あぁ」

『え?何?三つ子が揃って俺に用事?』

「シェリアのことなんだけどよ」

『俺何もしてないよ?俺のところにも来てないよ?』

「そうじゃなくて」

『あ,相合傘したことなら,シェリアにちゃんと許可取ってるからね』

「何ですってェェエエエエエエエ!!!!!?」

「ちょ,竜持落ち着け!」

「冷静になれ!それは俺の携帯だ!」



かっと目を開いた竜持は,携帯を投げようと手を振り上げた.

いやいやいやそれ投げたらダメだから!

しかも虎太のだし!



「…はっ,そう,そうですね…すみません,僕としたことが」

「用件はそれじゃないんだ,実はな」

『違うの?』

「青砥,お前…シェリアと結婚したいか?」

「ちょ,馬鹿虎太!シェリアが結婚したいって言わなかったか?だろ!」

『そりゃあ結婚はしたいよね.っていうか,言われてないよ.俺は言ってるけど』

「青砥くん貴方って人は○×▲…!?」

「ちょ,竜持落ち着けって!ほらほらどうどう!」



現場がカオスと化していく.



『あ,でも結婚がどうのこうのっていう話は知ってるよ.シェリアがよく言ってるから』

「それだ!」

『結婚するの〜って本人が言い張ってて,笑ったよ』

「相手は誰なんだ?」

『え,言っていいの?』

「頼む,俺の命が掛かってるんだ!無実を証明したいんだよ!」

『あー…そういうこと.シェリア,この間から会うたびに凰壮と結婚するだのしたいだのってずっと言ってるんだよね』

「ははっそうなのかー…っ,ごめん切る」

『えっあ,ちょっと!』



通話終了を押したものの,背中に感じるのは殺気.



「はっ,これは一体どういうことだ?」

「凰壮くんってば最低ですねぇ!」



心の中で南無,と唱えた俺.

足を引っつかまれて,床に思いっきり転がされる.

死ぬと覚悟して,2人の襲撃を覚悟した.





「おーぞ兄〜」

「「!」」

「せんたくもの,かわいてないよ!へやぼししよ…何してるの?」

「シェリアさん,いやぁこれは別に,何もしてませんよ!」

「ははは,ちょっと兄弟仲良く遊んでたんだ!」

「嘘!おーぞ兄いじめてたんでしょ!!!」



かちゃっと開いた戸から,伸びやかな声が入ってきて….

俺達三人を見て,固まるシェリア.

そらそうだよ,俺今馬乗りで羽交い絞め状態!



「いじめてなんていません!」

「か,格闘だ!」

「やめて!そうやっていつもおーぞ兄をいじめて!」



俺は,シェリアが天使に見える.

この窮地を救うために駆けつけたエンジェル.

これは,俺の予想では,シェリアが2人を叱ってなだめて,俺は助かると踏んだんだが!



「おーぞ兄はわたしのダーリンなの!いじめたらだめー!」



火に油!火事にガソリン!てんぷらに水ーーーー!!!!




「な,いや,シェリアさん!凰壮くんとなんか結婚したら,後悔しかありませんよ!」

「それでもいいもん!すきなの!」

「そもそもな!兄妹は結婚できないんだ!」

「いやー!それなら,キンダンのカンケーになるもん!」

「ちょ,どこでそんな言葉覚えてくるんだお前!」

「ひるどろ!」

「いや,昼ドラだろ!」

「昨日ね,見たもん!おにいちゃんといもうとが,ちゅっちゅしてるの!けっこんしないけど,いっぱいするの!」

「誰だシェリアに不埒なもの見せた奴はァアアアアアアア!!!」

「ギャアアアアアー!?」

「わあああ!!!」



突然腹を蹴られた俺.

パニックになって暴れた虎太.

それを止めようとして抑える竜持.

揉み合ってる2人をスルーして俺に近寄るシェリア.

蹴られて蹲った俺が顔を上げれば,シェリアがおでこにちゅうっとキス.



「「「…」」」

「えへへ〜!おーぞ兄,すきよ」



それからは,語るまでもないだろう.

この日から,降矢家では内乱が続いた.

俺に起こった悲劇は,最早数えられない.

シェリアが父さんに結婚たるものを説かれ,俺との結婚を諦めてくれるまで…それはそれは長い時間だった.



結論だが,やっぱりお兄ちゃん業は…楽じゃない.



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リクエスト夢:9/13:凰壮
ようじょifストーリー

リクエストありがとうございました.


※ニケ様以外の方の持ち出しはお控えくださいませ.




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