おうちにようじょがやってきた06


ちょっと,聞いてくれます!?

うちの娘,ものすっっっごく可愛いですよ!

あ,シェリアちゃんって言うんですけどね!

先日うちの子になったんですよ.



「パパー!」

「はい,なんですか!」

「Look at it!」

「ほぅ…これは?」

「パパのフェイス!」

「おお〜私でしたか!お上手お上手!」

「えへへ,Thank you!」


この間なんて,わざわざ描いた絵を私に見せにきてくれたんですよ!

可愛いと思いませんか!

ホント,可愛いけど可愛くない息子だけだったせいか,このシェリアちゃんが可愛くてしかたないんです!!


「パパ,きょうも…おべんきょデスか?」

「そうなんですよ,仕事ばっかりでもうクタクタですよ」

「Oh…がんばるパパえらいえらいデス…!」

「あぁもう可愛過ぎて私はシェリアちゃんを嫁に出したくない!!!!」

「何言ってんだ,父さん.頭でも打ったのか」

「あ,バード!オカエリナサイ!」

「おう,ただいま」


出ましたよ,さり気なく癒しの時間を奪う息子達の攻撃が.

反抗期ですかね,最近はものすごく私に冷たいんですよね.







昨日だって,私がシェリアちゃんとお風呂に入ろうとしたら怒るし.

一昨日は,可愛さ指数を測ろうとシェリアちゃん観察をしていたら邪魔するし.

その前の日は,手を繋いでいただけで蹴られましたね,3発.


「シェリアちゃん,最近息子達が酷いんですよ」

「Why?」

「それが理由が全くわからないんですよね.何か心当たりありますか?」

「うーん…わからナイのデス.パパ,やさしい!ワタシ,みかたスル!」

「シェリアちゃぁん!!!!!!」

「パパいじめるの,よくないデスね!ワタシ,おにいちゃんたちにイイマス」



流石シェリアちゃんは優しくて可愛くて本当に,いい子ですね!

我が家に来てくれて私は嬉しいですよ.

少し,話は変わるんですが,シェリアちゃんの両親について教えてさしあげましょう.

いやなに,彼女の父親は私の古い友人だったのですよ.




シェリアちゃんの父親は数学者で,母親は養護教諭をしていました.

私と彼らが知り合ったのは,彼が日本の大学に研究で渡航してきたからなのですよ.

そのときに来た大学で私は数学の教師をしてまして,それから彼との親交が始まりました.

当時,私の息子達がまだ生まれる前に,よく夫婦同士でお付き合いをしていたんです.

何年か日本で過ごした彼らは,私の息子たちが生まれた翌年に帰国しました.

かれこれ,それはもう10年以上前のことですね.

その後はメールや,手紙で連絡を取っていまして…5年前にシェリアさんが生まれたとの報告をもらいました.

一度だけ,彼らは私達のところに遊びにきたんですよ.

とても幸せそうな様子でした.





しかし,なぜかそれ以降,彼らからの連絡が途絶えてしまったのです.

こちらからメールを送ったりしたのですが,返事は来ないまま,ある日突然,私宛てのエアメールが届きました.

差出人は,とある孤児院の長でした.

心当たりのない私は,不審に思ったのですが,手紙にはこう綴られていました.

シェリアちゃんの両親は不慮の事故に巻き込まれて亡くなり,シェリアちゃんは孤児院に入って生活している,と.

私が送った手紙は,シェリアちゃんのいた住所に届いていたのでしょう.

手紙には一枚の写真が添えられていました.

両親の面影を持った,可愛らしい少女が写っていたのです.





それから,私は決めたのです.

シェリアちゃんを孤児院から引き取ろうと.

妻に相談したところ,彼女も快く頷いてくれました.

息子達には内緒でことを進め,すべて決まった後に報告することにしたのです.

恥ずかしながら,私の息子達は賢いが故にあまり人当たりが良くない.

ましてや,勝手に事を進め,新たな家族を迎える事に難色を示すことはわかりきっていました.

ですから,シェリアちゃんが我が家に来る前日にそのことを彼らに打ち明けたところ,とても驚かれましたよ.

無愛想な長男は無言立ち去り,口達者な次男は何か考える素振りを見せ,達観した三男は小言を零し.





しかしながら,実際にシェリアちゃんを迎えてみれば,息子達はシェリアちゃんを可愛がるではありませんか.

これには私が驚きましたよ.

そして,ここ数日であの息子達の様子が変わりました.

私はとても嬉しかった.

きっとこれは良い兆候なのだと,思ったのです.

現に息子達は,以前よりも子供らしく笑うようになったのですから.

シェリアちゃんを迎え入れて,本当に良かった.

父親として,こんなに嬉しいこともありません.

これからも,そうして子供達の成長を見守っていきたいのです.

…なんて,少し私らしくもありませんね.






―子供の幸せを父は夢見る―





「タイガー,ドラゴン,バード,ちょっとおはなしデス」

「「「?」」」

「パパをいじめる,ダメデス」

「別に…いじめてない」

「そうだぜ,勝手に傷ついてんだろ」

「あまりお父さんの言葉を真に受けてはいけませんよ」

「それでも,パパにヒドイことしたらイヤ!わるいことスルおにいちゃんたち,キライデス!」

「チッ…わかったよ」

「へいへい,気をつけますよ」

「シェリアさんに言われては,しょうがないですねぇ…」


ここに来て数日,シェリアちゃんは天下を取ったも同然みたいですねぇ.

いやぁ,実に興味深いですな,子供の思考というのは.







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