Ending Upload:リクエスト:夕日に染まった君の髪。様
「やっと課題終わったの?遅いよ〜」
「ごめん…,どーしても数学の最後が意味不明でさ」
塾を出て,帰る道が一緒の植松くん.
一緒と行っても,植松くんの帰り道に私の家があるだけで,送って行ってくれるだけ.
ただ,行きは別でも,帰りは絶対に一緒だった.
この日は,課題の終わった生徒から帰っていいということで,私はとっくに終わらせて入り口で待機していたのだ.
「受験するんでしょ?そんなので大丈夫なの?」
「…正直不安.でも,やらないと進学出来ないし」
「数学苦手だったっけ?」
「いや,苦手ってわけじゃないけど…得意って程でも」
「ふーん…」
植松くんは,特別頭がいいと聞いた事はない.
彼の苦手も得意も所謂並程度なんだろうと思う.
そういう私も,凡庸には違いないけれど.
「そういえばさ,植松くんとこうやって帰るのも今の塾行ってるうちだけなんだよね…」
「そ,そうだけどさ…」
「なんかさ,寂しくない?」
「えっ,俺と離れるのが!?」
「習慣付いたものがもうちょっとで終わるのって寂しいよね…」
「あぁ,そういうこと.でも…シェリアが寂しいって思ってるのはちょっと意外」
「何言ってんの.当たり前じゃん!」
何も思わないわけがない.
友達なら,連絡先教えてとか,また一緒に遊ぼうよなんて言えるけど.
私達は,別段仲良しな友達なんかでもないんだ.
「俺,たぶん,それを回避出来る方法2つ知ってる」
「え,何々!?知りたい!教えて!」
「1つは,お互い進学しても同じ塾に通うってのかな」
「えー…無理じゃない?」
「なら,もう1つの方法は,同じ学校を目指す…かな.それなら,塾以外も毎日一緒に帰れるじゃん」
「それだ!っていうか,植松くんの志望校ってどこ?第一は?」
「そういうシェリアはどうなの?」
「なら,せーので答えようよ.せーのっ」
「「 」」
同時に発した言葉が,重なった.
言い終えるタイミングまで一緒で,思わず笑ってしまう.
「心配するまでもなかったな」
「ふふ,そうだね.あのさ,植松くん」
「どうした?」
「…もし一緒の学校に行けたら,また一緒に帰ってくれる?」
「当然.じゃないと寂しいだろ?」
「うんっ!」
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リクエスト夢:7/30:植松くん
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