おうちにようじょがやってきた05


シェリアさんが来て,早数日.

僕達に小さな事件が起きたのです.

それは….





「憂鬱ですねぇ」

「そういえば,ここ数日雨だからな…サッカーできねぇ」

「まぁ,そのぶんシェリアと遊べばいいだろ」

「んで,その肝心のシェリアは?」

「「…」」



めずらしく,シェリアさんが朝起きてこなかったのです.

基本的に寝起きが悪いということもなく,毎朝ちゃんと定時に起きていたのに.

少し心配になって,三人でシェリアさんの部屋に行くことにしました.

シェリアさんには寝るとき以外は使ってないけれど,一応一人部屋を用意してあるんですよ.




「シェリアさん?起きてますか?」

「おーい,どっか具合悪いのか?」

「入るぞ」

『Nooooooo!!』


扉越しに声を掛ければ,勢い良く叫び声が返ってきました.

虎太くんが力任せにドアノブを回そうとしたら,向こう側から抵抗しているのかなかなか開きません.

何があったんでしょうねぇ.


『はいっちゃダメ!』

「どうしたんだ,なにかあったのか?」

『いま,ダメデス!Dont' enter!』

「でも,もう朝ご飯の時間だぜ」

「こら,無駄な抵抗をするんじゃない.開けるぞ!」

『キャー!』


甲高いシェリアさんの悲鳴と同時に,扉は簡単に開きました.

まぁ…虎太くんの力に敵うわけないんですけど.

中には,シーツに包まったシェリアさんが大層真っ赤な顔をしていました.

随分な格好です…可愛いけど.





「ダメっていったのに…ヒドイデス」

「なにやってんだ,そんな格好で」

「シーツで遊んだら駄目じゃないか」


凰壮くんがシェリアさんが巻いていたシーツをひっぺがそうとすると,シェリアさんは逃げ出して,僕の後ろへ.

あ,ちょっと優越感ですね.


「バードのえっち!」

「はぁああ!?」

「…凰壮,最低だな」

「見損ないましたよ,凰壮くん」

「ちょっと待て,今の数秒でなんでお前ら俺を裏切った!俺は何もしてねぇ!」

「いや,そこはシェリアの味方をするだろう普通」

「そんなの普通じゃねぇ!というか,シェリアも変なことを叫ぶなよ!」

「ダッテ,バードはワタシからシーツとろうとシまシタ.バードのえっち!」

「「バードのえっちー」」

「お前らまでシェリアの真似してんじゃねー!」


事態の収束を待って,シェリアさんに話を聞く事にしましょう.

このままでは凰壮くんが,変態のまま終わってしまいますし.

一応,弟が”最愛の妹”に手を出すなんて展開は勘弁ですしね.






「で,シェリアさんはどうしてそんな格好をしてるんですか?」

「…ふくがナイのデス」

「えっ?」

「あめ,ふったデス.ワタシ,もうてもちのふくがナイ」

「なるほど,そうでしたか」

「それでシーツを巻いてんのか?」

「だってワタシ,レディなのデス…」

「なんだよ,そんなことかー」

「心配してちょっと損したな」

「なっ…タイガー!バード!バカバカ!あっちいけデス!」

「「!?」」


シェリアさんは怒って,手当たり次第に二人に物を投げつけはじめましたね.

今のは二人が悪いですよ.

流石にデリカシーがなさすぎですって.

僕は攻撃されないまま,二人だけが追い出されてしまいました.

なんか…ちょっとですけど,こういう勝ち組みみたいな雰囲気ってホント気分いいですね.



「それにしても,ここ数日雨だから洗濯が乾いてませんでしたか…」

「Yes.ワタシ,あまりココにふくもってきてナイ」

「そういえば,来た時はキャリーケースひとつでしたね」


しょんぼりしたシェリアさんに,とりあえず何か洋服を着せないとマズイですね.

風邪を引いてしまいますし,シーツも直さないといけませんし.

何か着れそうなものがあったでしょうか….


「何か着れそうな物を探してくるので,とりあえず今日はそれで我慢してくださいね」

「アリガトウデス」

「いえいえ,流石に今のその格好では風邪を引いてしまいますから」


自分の部屋のクローゼットを漁って,ロングTシャツを見つけました.

ベルトか何かでウエストを絞ればワンピースっぽくはなるでしょう.

やっぱり,小さくても女の子っていうのはいろいろ気になるんでしょうね.







「えへへ,にあいマスか?」

「うん,可愛いですね.バッチリですよ」

「Thanks,ドラゴン!!ドラゴンはトッテモ,ジェントルマン!」

「それはどうも.お褒めに預かり光栄ですよ,レディ」


着替えを手伝ってあげると,すっかり機嫌も元に戻ったようで良かったですよ.

でもこればっかりは,役得ですから.

ただ,こういったことが今後あっても困るので一度シェリアさんの洋服を買いにいかなければなりませんね.


「タイガーとバードも,オトメゴコロがわかってナイのデス!」

「あはは,それを二人に分かれと言うのが無理な話ですよ」


わかるわからない以前に,虎太くんや凰壮くんはシェリアさんを子供扱いしすぎなんですよね.

ホント,今だから言えますけど,こういうキャラで良かったです.






―雨ときどき淑女未満のち紳士不足―





「虎太くん,凰壮くん,オトメゴコロをもう少し理解してあげた方がいいですよ」

「はぁ?乙女って…シェリアはまた子供だろ」

「色気づくには早いと思うんだが」

「そういう僕らも小学生なんですよ,一応.今のその言葉,鏡に向かって言えますか」

「「…(反論できねぇ)」」



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