ノーマルライン05


※台詞括弧の前に!が付いている場合は,主人公が男子になっています.


「降矢くん,おはよう」

「シェリアさん!おはようございます!お早いんですね!!」

「う,うん.なんだか,降矢君すごく元気だね」

「そうですか?そりゃもう,朝一から幸せだからですよ」

「へぇ…いいね.うらやましいや」



それは貴女に出会えたからですよ!

シェリアさん,相変わらずそのゆるふわ感がキュートです.

朝から癒されましたよ.



「そういえば,昨日はエリカさんと勉強したんですか?」

「え?あ…うん,した(と言えばしたことになってるよね?嘘ではないよね?)」

「どうですか,手ごたえはありそうでした?」

「ど,どうかなぁ」



シェリアさんに教えてもらえるだなんて,うらやましいですよね.

あー…僕も一緒に参加させてもらえば良かったです.

めちゃくちゃ悔しいです.



「あの,今度は僕も一緒に勉強させてくださいよ」

「え…あぁ,そうだね.そうしようか」

「はい!」



約束取り付けられましたよね?

今のって肯定の返事でしたよね!

皆さんが証人ですよ!?

それからシェリアさんと校舎に向かって,教室前で別れました.

ああ,名残惜しい.

シェリアさんが通り過ぎた後,エリカさんが登校してきました.



「……はー…」

「おや,エリカさん.おはようございます」

「…はぁ」

「なんですいきなり人の顔見て溜息だなんて」

「…え,あぁ竜持くん?おはよ」

「あからさまな態度すぎて聞くのも面倒なんですけど,何かあったんですか?」

「…いや」

「いやじゃなくて,そこは話すもんでしょう!逆に気になるんですけど!」

「複雑やねん,ほっといてや」

「いやいや,なんですか!思わせぶりはやめてください!」



人の顔見るなり溜息付いて,なんでもないだなんて.

怪しいに決まってるじゃないですか.

気になるじゃないですか!

ええ?そう思いませんか?



「あ,エリカちゃんおはよう」

「!」

「昨日は,ごめんね?」

「いや,あの,ええねん!しょうがないやん,体調悪いときってうちもあるし!」

「え,シェリアさん体調悪かったんですか!」

「えっと,急に,気分が悪くなっちゃって…」

「もう大丈夫なんですか?」

「せやせや,良くなったん?」

「うん,しっかり休んで,薬も飲んだから,平気だよ」

「そっか!それならええねん,無理したら駄目やで?」

「ありがとう」



そうだったんですか…それで,手ごたえがないって答えたんですね.

心配ですが,本人が平気というからには信じるほかないでしょう.



「シェリアちゃん,うち…補習駄目かもしれへん」

「え!」

「あんまり,出来る気がせえへん…」

「私のせいだ…ご,ごめんなさい…!」

「いやいや,ちゃうねん.うち,雑念が多すぎて…集中できひんかったんや」



どういうことです?

僕にはよくわからないですが,当人は通じてるんですかね.

蚊帳の外ですよ,どうしましょう.



「悩み事でもあるの?」

「…ちょっと,な」

「私でよければ,相談に乗るよ?」

「僕で良ければ聞いてあげてもいいですよ」

「竜持くんはええわ」

「ひどい!」

「それはともかく「ともかくしないでくださいよ,シェリアさんまで」…エリカちゃん,大丈夫?」

「スルーしないでくださいって」

「大丈夫っていうか…心配かけてごめんな.どうしようもないことやねん,気にせんといて」

「…話したくなったら,いつでも私聞くからね」

「おおきに」



シェリアさんやっさしーですねぇ.

ああもうこれで世の男は皆虜になるんでしょうそうでしょう.

無視されても僕はめげませんから.

いずれ僕以外と話したくなくなるような存在を目指しますからね.

それにしても,エリカさんも重症みたいですね.

放っておきましょう.








「なぁ竜持くん」

「どうしたんですか,急に」

「うちさ,補習で追試受かった」

「それはおめでとうございます,悩みの種がひとつ消えて良かったですね」

「うん…」

「なんです?」

「あのさ,ちょっと話聞いてくれへん?」

「あんなに散々言われておいて聞いてあげる筋合いがないんですけど,まぁいいですよ」

「竜持くんってさ,一言多いから友達おらへんのよ」

「何か言いましたか」

「いいえ」



突如僕を捕まえたエリカさんには驚きました.

ですが,相談って…朝のアレですかね.

僕何も知らないけど,いいんでしょうか.



「うち,もしかしたら…バイかもしれへん」

「バイ…とは,バイセクシャルのことですか」

「うん」

「…どうしてそう思ったんですか,根拠は」

「女の子なのに,好きになってしもて…でも男の子が好きで,ああもうアカン」

「どういうことですか,落ち着いて話さないとわかりません」

「…なんでもないわ,忘れて」

「さり気ないカミングアウトをした上で忘れろなんて,無理がありますよ!ちょっと!」

「ごめんな,うち頭おかしいねん.めっちゃ動揺してんねん」

「それはわかりますが」



そういうのって,まぁ個人の性癖ですからね.

僕にどうしようもないですよ.

差別的な意味を指しているのなら,僕はそういうのは気にしない主義です.



「好きな相手って,シェリアさんですか?」

「!」

「というか,今までの経緯上そうとしか思えませんけどね」

「ちゃ,ちゃうわ…間違ってないけど」

「どっちですか」

「どっちもや!」



そこでキレられても….

僕にどうしろってんですか.



「僕もシェリアさん好きですけどね」

「知ってる」

「彼女可愛いですもん,おまけに良い人ですし」

「…めっちゃ,かっこいいねん.おまけに優しゅうて,紳士で」

「そこは紳士じゃなくて淑女でしょう」

「…紳士やねん」



相当パニックなんでしょうけど,もう僕はツッコミませんからね.

性別はこの際抜きにして,シェリアさんがしおらしいということにしておきましょう.



「はー…」

「告白したらどうですか,そして振られてください」

「無理やろ」

「友情にヒビが入った直後に僕がシェリアさんに取り入れば完璧ですね!」

「どこがやねん!って,竜持くんも振られるのがオチやと思うで」

「……エリカさん,本当に悩んでます?」

「ツッコミしたらアカンってわかってても身体が勝手に…」



それだけ元気ならもう僕知りませんよ.

ていうか,恋敵なわけですし.

負ける気ないですけどね.



「…どないせぇっちゅーねん」



そんなの僕が聞きたいですよ.



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