お前が入れる懐なんてねーから
「コイツが女である事を今一度論議したい」
「何を今更,コイツは男だろ…?」
「見た目女子,中身は漢でしょう」
「やっだぁ,シェリアってばお前らが何言ってやがるのか理解できなぁい」
第一回三つ子とシェリアの討論会!
ってことで,とりあえず今回は虎太でお送りするぞ.
今日の議題はシェリアの性別ということで突き詰めていこうと思う.
俺は前世が男に一票だ.
「オツムが足りないだけでしょうが」
「前髪むしるぞおかっぱ緑」
「ぎゃあっそういうところが女性らしくないんですよ!!」
「でも乳はデカイよな」
「あれはまぁ,女と認識出来る唯一の象徴だよな」
「殺すぞお前ら」
「死ぬ前に揉ませろ!」
「くたばれスケベレッド!」
「ぎゃああ!!飛び蹴りは卑怯だぞ!」
討論だけではなく,乱闘が勃発してしまった.
とりあえず,シェリアが最強すぎて敵わない.
俺は思わず避けて,凰壮が犠牲になった.
「見た目は女の子なんですが,如何せん中身がたくましいですからね…それにこの凶暴さを見てください.まるでゴリラですよ」
「だよな!こんな女を女と認めざるを得ない乳がついてるから,俺も反撃していいのか迷う」
「乳が基準か!お前最低だな!」
「で,正直なところお前ホントに女なのか?」
「虎太ァァアアアアア!!!!」
「ひっ」
シェリアが俺を張り倒す.
いや,だって,性転換の可能性が費えたわけじゃ…なんでもない.
シェリアは律儀に保険証を見せて,俺に女だと書かれた部分を指した.
これはこれはどうもご丁寧に….
「おしとやかにしてりゃ,可愛いのにな」
「凰壮くん,やめましょう.叶わない夢を見るだけ虚しいです」
「でも,スカートとか履けばもっと大人しくなるんじゃないか?」
「虎太くん駄目ですよ.スカートなんて履いたところで,きっとパンツ丸見えになっても回し蹴りするような人ですから」
「それもそうか」
「おい!そこ!納得するな!」
シェリアはいつもショートパンツとかだ.
スカートでも絶対スパッツ着用.
あ,決して俺が覗いて見たわけじゃない!
シェリアが勝手に暴れて,見えるだけだからな!
「なら逆に,それを売りにした店に売ればそこそこ稼げるんじゃないか?」
「ドMの悦ぶいかがわしい店くらいしか引き取り手がねぇよ」
「最悪死人が出ますよ!」
「出ねぇよ!ていうか,俺を勝手に売り飛ばそうとしてんじゃねぇ!」
「まぁゴリラの時点で素ッ裸で男も逃げ出しますよ」
「それ完全にアウトな店だろうが!」
ちょっと話がピンクになってきたな.
それでも色気もクソもないこの女.
「お前らって,人の心を抉って楽しいか.好きでこんなんになったわけじゃねぇぞ」
「「「…」」」
「どこで間違ったか,兄貴の影響だろうけどよ」
「貴方のお兄さんは女々しいですからね」
「確かに見るからにひ弱だよな.あとなよなよしてるし,めっちゃ弱い!」
「むしろ,オネエ臭がする.というか,歳上なのに頼りなさすぎだろ」
「ひとン家の兄貴だと思ってボロクソ言ってんじゃねぇ!」
「だって事実…」
「事実でもオブラートに包めや!」
シェリアは昔から兄ちゃんを守る,正義感の強い奴だからな.
むしろ,性別を入れ替えた方が良さそうな兄弟だ.
シェリアの兄ちゃんは,それほどに弱いってことだぞ.
「結論を出します」
「いや,まだ何も話が進んでないんだけど」
「シェリアさんは,男で異論なしですね?」
「待て!シェリアには乳がある…それに,あの腰とか太腿とか…」
「やらしいですねぇ,凰壮くん.女日照りでも,あれに欲情するようじゃ終わりですよ」
「目を瞑れば,いけそうな気がするんだけどな」
「虎太くんまで何を…」
「お前ら俺をいじめて楽しい?もう俺帰っていいかな」
「まぁ待て.俺はお前はギリギリ女だと思ってるぞ」
「ギリギリか」
「ギリギリだ」
女らしいところは,見たことがない.
だけど,男と呼ぶにはちょっと物足りない.
だからギリギリ女で合ってると思うんだけどな.
凰壮はうんうんと言って,対照的に竜持は不満そうだ.
「でも,性別がどっちでも俺はシェリアならそれでいい」
「まぁな.コイツとなら一緒に居て飽きないし」
「男でも女でも貴方が僕らとつるんでるのも紛れもない事実ですからね」
「お前ら…!」
じーん,としたシェリアの嬉しそうな顔.
そして,俺達3人は同時に口を開いた.
「最悪の場合,俺が最後に貰ってやるから安心しな」
「万が一の時には,僕が籍だけは入れてあげますので」
「どうしようもなくなったら,俺が子作りだけは手伝ってやるよ」
「全員どうあっても俺が最終手段か!凰壮に至っては最悪だぞ!」
「いやだって,俺男だし」
「子作りするなら責任もって嫁にしやがれェェェエエエ!」
「誰がゴリラの飼育に付き合うか!!」
「貴様そこに直れ!一思いに屠ってくれる!」
「ぎゃああああお前それは反則…!?」
凰壮は広辞苑によって召された.
正確には,広辞苑を振りかぶったシェリアによってだが.
俺としても,巻き込まれたくなかったから黙っておく.
竜持も同じ判断をしたようだ.
「こんなこと言うのもアレだけどよ.最悪,もし何かの間違いがあってお前らが売れ残ったとしよう」
「「?」」
「そんな場合があったならば,俺が一生養ってやるから,この懐に転がりこんできやがれ」
「シェリア…!いや,兄貴!!」
「シェリアさん…なんて情に熱い…!感動です!」
「はっ,てめェらまとめて面倒みてやるなんざ,お安い御用さ」
惚れそうだ,何このイケメン…じゃなかった,イケガール.
無駄に台詞かっこいいし,顔も整ってるし,オーラが違う….
これじゃあ女が女に惚れるわけだ.
「ってわけで,今回の討論をまとめるぜ」
「イエー!」
「何があっても全員シェリアさんについていきます!でいいですかね」
「おう,俺が守ってやるよ.安心しな」
「素敵です!!一生付いていきます,兄貴!」
「異議なしだ,兄貴!それで決定!!」
「最高だぜ兄貴!抱いてくれー!」
「いや兄貴じゃねェ!そこはせめて姐御だろ!」
第一回三つ子とシェリアの討論会は,これにて閉幕.
まぁ,これが日常ってやつだ.
うらやましいか?
だったら,お前も参加しに来な!
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(リク内容)
三つ子(仲良し,男らしい性格のヒロイン)