頭に埋まった君の存在
売りといえば,絶対服従,完全征服,人気絶倒.
そんな私は,生徒会書記をやっているシェリアと申します.
私の通う学校には,4人で構成された生徒会が存在していますのよ.
生徒会長,生徒副会長,会計,書記の役割を担う組織でございます.
「シェリア,これでいいか!?」
「シェリアさん,書類出来上がりました!」
「おいシェリア!このくらいのミス勘弁してくれよ!」
ただ,他所の生徒会と比べれば少し変わっていることがありますわ.
「虎太くん,この書類は日付が間違っていますわ.修正して印刷しなおしです.竜持くんは,追加でこちらもお願い致します.今日中に頼みますね.凰壮くん,妥協は許しませんよ.貴方が責任取るなら構いませんけれど」
「「「…はい」」」
生徒会構成のうち,私以外が血縁者ですって.
信じられますこと?
三つ子の悪魔とも呼ばれる,問題児が生徒会ですのよ?
「俺の思ってた生徒会はこんなんじゃ…」
「僕だって,まさかこんなことになるなんて」
「誰がアイツを当選させたんだ…クッソ」
生徒会に入るには選挙を行い,立候補者から上位4人が選ばれます.
その4人で相談し,役職を決めるのですわ.
まぁ,三つ子にどのような魂胆があってかは知りませんけれど.
私が生徒会にいる以上は,悪さなどさせませんことよ.
「突撃新聞部インタビュー!ということで,今年の生徒会に密着取材らしいぜ」
「迷惑だな.断れよ」
「…面倒ですね」
「何を言ってるんですか?貴方方は学校を取り仕切る生徒会の役員なんですから,そういった言動は謹んでくださいませ.インタビューはお受けいたしましょう.知名度を上げ,活動内容を皆に理解してもらうんですよ」
「だって,そんなこと今更…」
「馬鹿,凰壮!」
「シェリアさんの逆鱗に触れるつもりですか!!!」
私は,生徒会結成当初に彼ら三つ子に誓約書を書かせました.
上手く丸め込んで,こちらの要求を全て飲ませたのですわ.
聞えは悪いでしょうけれど,生徒会の全権は私に集約させて頂きました.
サインしたが最後,彼らは肩書き上は私より上の役職ですが,私より下の位置付けにありますのよ.
「何をいってらっしゃるのかしら.誰が私に意見を許しましたか.貴方方に決定権などありません.いいから黙って仕事を片付けるのですよ.新聞部には私が連絡をしますので」
「「「…はい」」」
つまり,逆らうことは許されない.
そう解釈していただけますかしら.
そして,私達への密着取材が始まったのですわ.
---生徒会長から見た書記-----------------
シェリアか?
俺にとってシェリアかぁ….
「シェリア,書類は終わったぞ…」
「お疲れ様ですわ.休憩を挟んで,後でこちらのファイリングをお願いします」
「…お前は休まないのか?」
「休む暇などありません.仕事は次から次へと溜っていきますから」
シェリアは,真面目なヤツだ.
真面目すぎて,ちょっと自分を省みないから時々心配になる.
「何か?」
「お前も休もうぜ.一回休憩いれたほうが,効率が上がると思う」
「…では,5分だけ.虎太くん,何かお飲みになりますか?」
「いや,俺が淹れるよ.コーヒーにミルクたっぷりだろ」
シェリアって口は辛口だけど,めちゃくちゃ甘党なんだ.
可愛くないか,ギャップっていうかさ.
あ,ここカットしてくれよ.
「よく覚えてますね」
「いつも見てればな.というか,お前こそ,いつもよく俺らの好みを把握してるな」
「別に,これくらいは当然です」
気が回るし,こいつお母さんみたいだよな.
嫁にもしたいっていうか,言う事ないのが現状っていうかさ.
とりあえず,シェリアのこと俺は気に入ってるんだぜ.
---生徒副会長から見た書記-----------------
シェリアさんですか.
彼女は….
「竜持くんは,要領がいいのですね.仕事がとてもスムーズに進んでいますわ」
「いえ,貴女の采配が上手なんですよ」
言うなれば,才女ってところですかね.
それはもう僕ら三つ子を手玉に取るような人ですから.
褒められたりなんかしたら,恐れ多いくらいです.
「それが終わりましたら,凰壮くんの分に取り掛かって頂けるかしら?」
「はい.このままじゃ帰るに帰れませんから」
「いつもありがとう,竜持くん.貴方を信頼していますわ」
でも,彼女の言葉ってとても綺麗なんですよ.
ストレートだけど,人を傷つけないですし.
嫌事を言っても,フォローしてくれますしね.
「そうだ,シェリアさんはお疲れじゃないですか?僕が代わりましょう」
「いえ,結構.自力で出来る範疇の仕事量しか抱えませんので」
「無理してはいけませんよ」
「それは貴方もでしょう」
気配りが細かくて,きっと彼女が側に居れば何でも片付いてしまいそうです.
シェリアさんは秘書に向いてるのかもしれませんね.
結婚してもきっと,旦那さんを管理する素敵な奥様になるでしょう.
すいません,僕の余談は編集をしておいてくださいね.
---会計から見た書記-----------------
「凰壮くん,服装が乱れています」
「ネクタイ忘れたんだよ」
シェリアは,俺によく指導してくる.
でも逆らえないのも事実.
「忘れるとは何事ですか.生徒会が風紀を乱すなど,有り得てはなりません」
「悪かったよ.明日は気を付けるって」
「…しょうがないですわね.今日は私のネクタイの予備がありますからお貸ししましょう」
小言を言っても,なんやかんやで俺のことを助けてくれるからコイツはいい奴だ.
とりあえず今のままで異論はない.
「…お,おう…ありがとな!」
「お礼は結構.私が結んで差し上げます」
「(ち,近い…)お前,正面からネクタイ結べるなんて器用だなー…」
あと,ちょっと好きになりそうになる.
いい匂いするし,嫁にしたいタイプってヤツ?
「これくらいは当然ですわよ」
やっぱ奥さん的ポジションだよなー.
あ,ここらへんは編集で上手くやっといてくれよ.
それから数日後のことです.
【生徒会密着取材!】
新聞が発行されて,生徒会にも一部届きました.
私は勿論,3人が真摯にインタビューに取り組んだと思っておりましたわ.
ですが,タイトルから不穏な文字を見かけてしまいましたの.
【生徒会は姫を囲んだトライアングル!?】
なんですか,このタイトルは.
姫ってなんですか,姫が私だなんてふざけてますの?
「貴方達,これは一体どういうことですの」
「そ,それが…えっと」
「これには深い訳がありまして」
「いや,ほら,新聞部のお茶目な編集が…」
飛び出す言葉は,嫁だの好きだの四角関係だの…不謹慎ですわよ!
怒り心頭で睨みつけたのが効いたようで,3人とも項垂れてしまいましたわ.
私の方が項垂れてしまいたいんですけれど.
「「「すいませんでした」」」
当然謝らせた私は,新聞部に記事の回収を要求しましたわ.
でも,時既に遅し.
全部回収することは不可能でしたのよ.
その後,私は全生徒に嫁にしたい女というレッテルを頂きました.
おまけに,人気が鰻上りで,ファンクラブなどというものまで出来上がる始末.
もう頭が痛いです.
いっそ,全権放棄してしまいたいくらいですわ.
「私,生徒会やめます」
「「「!」」」
「これからは,3人で頑張ってくださいませ」
「待て!早まるな!落ち着くんだ!!!」
「何があったんですか!僕達を見捨てないでください!!」
「お前が抜けたら学校崩壊するから!俺ら発狂するぞ!」
……そんなこんなで,結局私は生徒会書記を続投しております.
日に日に問題を抱えながら,学校を支えているのでございます.
私が生徒会を牛耳っているだなんて,人聞きの悪い事は言わないでください.
彼らが泣いて頼んだのですから,仕方なくなんですからね?
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(リク内容)
三つ子(生徒会パロ)