色眼鏡
ダラーズは保護色。
どんな色にもなれる、無色。
透明なレンズから覗いた世界は、素晴らしくもあり、退屈でもあった。
それはいつからこんな風に、
「先輩」
突然現れて、思考の邪魔をした声の主は、自分の後輩だった。
「何、青葉君」
「いえ、特に何かあったわけじゃないですけど…」
「けど?」
無色透明な世界が変わる。色が加わる。
青色、青、アオ、青青青青青青青あお
「迷っているのかと思って、」
鈍い音がした。
握り締めた手が痛い。
あれ?青葉君が蹲ってる。
「青葉君、大丈夫?」
どうかした?痛かったら、冷やすもの持ってくるよ?
覗き込んだ青葉君の顔は奇妙だった。
何か恐ろしいものでも見たように引きつっていて、なのにどこか嬉しそうだ。
青葉君って、痛いのが好きな人種なのだろうか。
だったらちょっと、引くなあ。
全部青いせい
(こんなに冷えた気持ちも、血の通わない苛立ちも)
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