アークラ学パロ!
アークライズファンタジアの学パロというか現代パロです。
ニコラルです。
「アニキー!今日、アニキの家に泊めてほしいっス!」
開口一番、そうのたまった相手に、ラルクは(もちろん軽めに)鉄拳制裁を下した。
「ひどいっスよー!いきなり殴るなんて…」
「お前なあ、会っていきなりそれを言うやつがあるか!…ったく。今度いきなり来ても家に上がらせねえからな」
「へ?それじゃあ、先に言ってたら行って良いんスか!?」
「…一人分多く、夕飯の食材くらいは買っといてやる」
「アニキー!大好きっスー!」
「だー!鬱陶しい!抱きつくな!」
結局、いつもこうだ。
こんなときだけ粘り強い二コルに、ラルクが最終的に折れて、母のエレナも快く二コルを家に上げてしまう。そんなこんなで二コルが家に押しかけてきたのはこれで五回目だった。
「…人の気も知らねえで…馬ー鹿…」
投げやりにつぶやいたラルクの言葉は、夕焼けに溶けた。
「いやー、飯は旨いし風呂は入れるしでもう最高っスね!」
肩からタオルをかけ、風呂あがりの二コルはノックもせずにラルクの部屋へ、当然のように上がりこんできた。
「てめっ…!頭くらいちゃんと拭け!床が濡れるだろうが!」
「わわわ、暴力反対っスよ!」
「だったらちゃんと拭け。」
乱暴に二コルのタオルを掴んで、がしがしと拭く。痛いっス!という声は無視だ。
「いってえ〜…ってあれ、アニキ、宿題っスか?」
「あ?…ああ。ついさっき終わった。俺はもう寝る。…ほら、布団出すからそこどけ。そんでお前もさっさと寝ろ。」
床へ布団をひくと、ラルクは自分のベッドに寝転んだ。
「え〜もう寝ちゃうんスか?」
「もうってお前…今はとっくに夜の12時過ぎてんぞ。…明日、お前のぶんの朝飯と弁当も作るから寝ろ。」
「か、感謝感激っス〜!」
「だっから、抱きつこうとすんな!」
こうして、ゆっくりと夜は明ける。
「…ふう。」
弁当を一通り作り終えたラルクは、朝食のパンと、サラダを机の上に置いた。
ちょうど上から降りてきた二コルが、おはようございまーすと気の抜けた挨拶をした。それに挨拶を返してから、ラルクは小さなため息を吐く。
「ったく…こんな時間まで寝といて欠伸かよ。ほら、とっとと飯食え。弁当もそこに置いてあるから。それに今日はおふくろ、調子がちょっと悪いみたいでまだ寝てるから、騒ぐなよ。」
「はーい…いただきますっスー…」
若干眠そうな二コルだが、食事のペースは遅くない。
無言のままで朝食を終え、ラルクが食器を片付けているときに、ふとしたように二コルが言った。
「そういえば、アニキのエプロン姿なんて初めて見た気がするっス。似合ってるっスよ!」
「と、唐突に変なこと言うな!ほら、弁当持ってけ!」
「ありがとうっス!アニキ大好きっ!」
「っ、だからお前はっ!んなほいほい大好き言うな!恥ずかしいんだよ!」
そう言った瞬間、二コルの表情がふっと真剣なものになった。
「ホントっスよ。俺はアニキが…大好きっス。」
「お前、何言っ、――」
てんだ。という言葉は続かなかった。
ドアップになった二コルの顔。唇の柔らかい感触。
すっと離れていった二コルの顔は、いつもの笑顔だった。
「それじゃアニキ、ごちそうさまでしたー!あと弁当もありがとうっス!」
「ちょっと待っ……、行っち、まった」
かけていった二コルを止めることも叶わずに、ただ数分の間、ラルクは半ば放心状態となって、徐々に熱くなっていく頬に、頭を抱えることになった。
両者とも、動かず?
(いとも簡単にそれは崩れ去ったけれど!)
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