too much 過保護
私の彼氏は面倒見がよすぎる。
「なまえ、寒くないか?」 「ちゃんと手洗いうがいしたか?」 「忘れ物ないか?」 「宿題やったか?」 「知らない人についてっちゃダメだぞ」 「魚の骨、気をつけろよ」
魚の骨って。お母さんか。
「今日も絶好調で甘やかされてたねぇ」 「違いますよ、あれは過保護っていうんです」
放課後の部活前、たまたま会った菅原先輩と一緒に部室に向かう。
「大地は元々面倒見いいけど、なまえちゃんに関しては尚更だなー」 「私そんなに頼りないでしょうか…」 「いや、可愛がりたいだけだよ。目に入れても痛くないって言ってたよ」 「なんだそれ。私はコンタクトか」
思わず出た言葉に、菅原先輩がお腹を抱えて笑っている。あまりに面白そうに笑うから、私もつられて笑ってしまった。
それが、見られていたとも知らずに。
部室棟の前に着いて菅原先輩と一旦別れ、女子更衣室に向かうと、ぐいっと引っ張られた腕。隣にある用具室に連れ込まれると、顔の両側に手をつかれて、逃げ場がない。
「…っ大地さん!」 「随分と楽しそうだったな、なまえ」 「えーと」 「俺以外に着いてっちゃダメです」
おお、要求がエスカレートしている。
「俺以外にあんな可愛い顔で笑っちゃダメ。無防備になっちゃダメ。返事は?」
ーこれは過保護というよりも…
「妬いてるんですか?」 「当たり前だろ。爆発寸前だ」 「菅原先輩でも?」 「あいつはいい男だから尚更だ」
ああもう、なんて可愛い私の彼氏。楽しい男子バレー部で笑うな、なんて無理だろうけど、せめてこの過保護な人を安心させてあげよう。
「私が男性として好きなのは、大地さんだけです。好きです。大好き。」
そう言って彼の腰に手を回し、思いっきり飛びつく。ぎゅうっ、と力の限り抱きしめると、彼の額が私の肩につき、
「…っとにお前は…。これだから心配になるんだ」と呟いた。
可愛すぎる、と続けてから、抱きしめ返してくれた。
過保護すぎる彼氏だけど、愛を感じるからそれに甘んじよう。
なんせ私はコンタクトレンズ。
ただしハードコンタクト
(あ、スカート短いぞ) (お父さんか)
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