HAPPY BIRTHDAY '16
私の膝の上ですやすや眠る彼。それも当然だ。今日は強敵と二試合もして、さすがに疲れてるだろう。
色々な意味で特別な今日、そのまま家に帰りたくないと恐らく二人とも思っていたからか、試合会場を出た後、足はそのまま私の家へと向いた。
「ん…あ、悪ィ、寝てた」
寝起きの掠れた声とまだ開ききっていない目。
「まだ寝ててもいいよ、疲れてるでしょ」 「せっかくなまえといんのにもったいねぇだろ」
まだ寝ぼけているのか眠そうなままだけど、珍しく真顔で甘い台詞を吐いてくれて。
「なあ、キスして」
私を見上げたまま鉄朗の手が私の頭の後ろへ回る。
「…じゃあ起きてよ、この体勢だとしづらい」 「無理。このまま」
回された手に力が込められたと思えば、引き寄せられる唇。
「ん、っ…」
いつもと違う角度で重なる唇と苦しい体勢、絡みあう舌に呼吸は乱れる。
「、はっ」
もう無理、と唇を離せば
「なに、もー限界?」
いつも通りの態度で聞いてくる彼の眠気は完全に覚めたようだ。
「なぁ…もっかい。なまえからシて」
そうと思えば珍しく甘えてくる鉄朗に一瞬の軽いキスを落とした後、今日ずっと言いたかった言葉を。
「春高出場おめでとう」 「なまえも一緒に行くんだけどな」 「ありがとう」 「連れてくって約束だったからな」 「それもあるけど…」 「ん?」 「生まれてくれてありがとう。鉄朗が居てくれてほんとに嬉しいよ。誕生日おめでとう」
普段は恥ずかしくて言えないような台詞も、今日だけは素直に。
「…あんまカワイイこと言われると黒尾さん困っちゃうんですケド」 「ふふ」 「ありがとな、すげぇ嬉しい。最高の誕生日だわ」
言葉通り嬉しそうに笑ってくれたあと当然のように目を閉じる彼へ、もう一度甘い口づけを。
普段は言えない言葉も今日は
(膝枕は惜しいけどそろそろ起きるか) (ん、帰る?) (バカ言ってんじゃありません)
to be continue.
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